第21回 頭に「な」のつく映画といえば?

 ホラー映画好きにとって、どんなモンスターに襲われたいか?という議論。


 ゾンビの大群に襲われたいか? 

 ジェイソンのような、単体の殺人鬼にどこまでも追われたいか?


 エイリアンやプレデターに一度に襲われたら……というのは二種ハイブリッドが誕生する「エイリアンvsプレデター」で見たし、じゃあ、ゾンビと吸血鬼のハイブリッドはどうだろう?


 そんな感じで、頭に「な」がつく映画、今回は「ナイトウォッチメン」を紹介します。


 原題は「The Night Watchmen」。


 2017年のアメリカ映画。監督はミッシェル・アルティエリ、出演はケン・アーノルド、ダン・デルカ、ケビン・ジゲッツ、カーラ・ルイス、ジェームズ・レマー、マット・セルヴィットほか。


 真夜中のオフィスビルを警備する不真面目な3人の警備員、ケン、ジゲッツ、ルカたちのところに、新人警備員がやって来ました。


(ちなみに先輩警備員のキャスト3名は、ケン・アーノルド、ケヴィン・ジゲッツ、ダン・デルカ。共同でこの作品の脚本も担当しています。っつーか、役名が本名そのままだな……)


 新人警備員は、先日亡くなった「ラジーブ」という前の持ち主の名札がついたままの、お古の制服を着せられ、そのせいで「ラジーブ」とあだ名されることになっちゃいました。名前は終盤まで明かされず、ずっとあだ名で呼ばれ続けます。かわいそうに。


 先輩たち3人は、自称海軍や元マフィア、ムショ帰りなど曲者揃いですが、何も起こるはずのないビルの警備の仕事をナメまくっており、「俺たちの仕事は、仮眠とポーカーだ」と断言するほど。

(ラストでは、海軍で訓練を受けたのは3日だけとか、マフィアの親戚がいるだけで俺は関係ないとか、ムショ帰りは単なるデマで実は品行方正とか、全部ウソだと分かるんですけどね。みんな、悪ぶりたいだけでイイ人たち)


 ある日ふと、ケンが監視カメラに目をやると、何やら怪しげな棺を駐車場へ搬入する宅配業者の姿を発見。


 ケン達は現場へと急行します。

 ですが、配送業者が届け先を間違えていたと判明し、ワイロを受け取った上で、一晩だけ駐車場に預かることにしました。

 しかし、オフィスで働く社員が偶然通りかかり、棺の中にある装飾品を物色して泥棒しようと、棺を開けます。


 棺の中には、世界的なサーカス団の団長のピエロ、ブリンポの遺体がありました。

 彼はルーマニアでの公演中に原因不明の奇病で亡くなっており、その検査のためアメリカに遺体が送られていたのです。

 記念写真を撮ろうと、その社員はカメラを構えましたが、なぜかレンズ越しにはそのブリンポの姿が映りません。


 その瞬間、なんとブリンポが蘇生し、社員の首に噛みつきました!


 ブリンポはピエロの格好をしたヴァンパイアとなって、オフィスに残っていた人々を次々と襲い始めます。

 襲われた人々の口にはキバが生え、また別の人間を襲い、爆発的に増えていきます……。


 ケン達4人と、逃げ延びた女性ジャーナリストのカレンは、奴らの群れと戦うことになり、ビルからの脱出を図るのですが……。


 DVDジャケットには「全米騒然! ゾンパイア・アポカリプス!」と妙なキャッチコピーがついており、ゾンビの特徴とヴァンパイアの特徴(ピエロのルーマニア設定はこのためか!)を兼ね備えた「ゾンパイア」と戦う人間たちのホラーコメディ。


 ゾンビ要素としては、死んだ者が生き返る、噛まれたらそいつもゾンパイアになる、頭を撃たれても死なない、ヴァンパイア要素としては、キバが生える、虚像が映らない(カメラ映像や鏡では姿が確認できない)、ニンニクに弱い、十字架に弱い、心臓を杭で貫かれたら死ぬ、日光を浴びたら灰になって死ぬ……こうやって列挙すると、ヴァンパイア要素は「弱点の追加」でしかないような? メリットは? キバが生えてカッコイイことかな?


 主人公たちが弱点を確認すると、革製品を切って首に巻き、噛みつき対策の防具を作ったり、木材を削って大量の杭を準備したり、ニンニク入りのサンドイッチを食べたり。


「IT」のように、ひたすらピエロが恐ろしいという作品ではなく、ラスボスであるブリンポは序盤の恐怖を引き立ててはくれるものの、中盤を過ぎたあたりで心臓を杭でひと突きされてすぐに退場。この作品の敵はゾンパイアの群衆なのです。


 ゆるい掛け合いが楽しい、B級映画好きにはストライクな逸品。


 怯える巨乳美女の服をゾンパイアが掴んで、服が脱げて胸が丸見えになり、上半身ハダカでムネを揺らしながら巨乳美女が走って逃げてという、ストーリーとの関連性が皆無な、無意味なエロシーンがあります!

 そこだけオススメするわけじゃないけれど!

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