第19回 頭に「て」のつく映画といえば?
お正月にはタコあげて~♪と、薄い紙と竹の骨組みで、風に浮かべて空に飛ばすタコ。
中国から伝わり、日本では、その形がイカに似ていることから、当初は「イカ」と呼ばれていました。
江戸時代、飛ばしたイカが事故につながるとして、幕府は庶民に対して、イカを飛ばすことを禁じました。
そこで庶民は言い訳します。「これはイカじゃねえ、タコってんだ!」
そこから、「タコ」と呼ばれるようになった、という話です。最初はイカと呼ばれていたというのが面白いですね。
空飛ぶタコ雑学をお送りしたあとで、空を飛ばない海のタコの出てくる映画の話。
頭に「て」のつく映画、「テンタクルス」を紹介します。
原題は「Tentacles」。「テンタクルス」は、タコ・イカなどの触手の意味です。
1977年のイタリア・アメリカ映画。監督はオリヴァー・ヘルマン、出演はジョン・ヒューストン、シェリー・ウィンタース、ヘンリー・フォンダ、ボー・ホプキンスほか。
7月、カリフォルニア州の海沿いの町で、人々が次々と“何か”に海へ引きずり込まれる事件が相次ぎました。
ベテラン新聞記者のネッドは調査を進めるうち、トロージャン・トンネル会社が建設中の、海底トンネルの件へと辿り着きます。
一方、トロージャン・トンネル社のホワイトヘッド社長から調査依頼を受けた海洋学者のウィルも調査に乗り出しましたが、ここでも現地調査に向かった2人の部下が“何か”に襲われてしまいました。
さらに調査を進めていたネッドと、ロバーズ警部は、“何か”に襲われた人たちが皆、無線またはラジオを聞いていた事をつきとめます。
海中調査を行ったウィルも、トロージャン・トンネル社が使用していた電気振動装置のせいで、魚が大量死しているのを見つけました。
電気振動装置の影響で“何か”が目を覚ましたのです。
その頃、ネッドの妹のティリーの息子・トミーたちは、少年ヨットレースに参加していました。
そこに、ついにその“何か”……巨大なタコが姿を現したのです!
トロージャン・トンネル社が使用していた電気振動装置の起こした異常周波数で、本能を狂わされて目覚め、凶暴化して人々を襲っていたのでしたー!!
巨大なタコに襲われる恐怖を描いた動物パニックムービーです。
当時、映画『ジョーズ』の大ヒットにより、いろいろな動物が人間を襲う「動物パニック映画」が量産(粗製乱造ともいう)されていた中で、ベテラン俳優たちの出演により製作された一本ですが、まあ、非常に、アレな感じ……です。
苦笑いしながら「アレ」って言うパターンの作品(笑)
巨大なハズのタコは、本物のタコをひたすらアップで撮影しているという手法。
タコが船を襲うシーンは、ミニチュアの船に、本物のタコを絡ませたり。
これぞガチリアルタコバトル。
コンピュータグラフィックでもここまで描けない、超リアルなタコの質感ってスゴイナアー(棒読みで)。
あとは、露骨に作り物だとわかる触手に、自ら絡まりにいくビキニ美女とか(これはこれでイイけどね・笑)。
クライマックスは、「ジョーズ」と違って爆弾オチではありませんが、いかにも作り物の「ある動物」が、本物のタコを突っついたり、足を噛みちぎったりするのを、接写のカメラワークと音楽でダイナミックに見せかけている印象なのです。
ただこの作品、音楽だけはイイんですよねー。
サスペンスを盛り上げる演出として挿入される「テレテレテレッ!」という効果音が非常に耳に残ります。
「ショボいけど頑張ってるなー」系映画を見たい気分の時にどうぞ(どんな気分だ)。
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