第15回 頭に「そ」のつく映画といえば?

 頭に「そ」のつく映画と言えば、グロいホラー好きとしては「SAWソウ」シリーズについても語りたいところではあるのですが、ながーくなっちゃいそうなので涙を飲んで割愛。


 というわけで今回語る「そ」のつく映画は……。


「ソムニア -悪夢の少年ー」。


 2016年のアメリカ映画。原題は「Before I Wake」。

 監督はマイク・フラナガン、出演はケイト・ボスワース、トーマス・ジェーン、ジェイコブ・トレンブレイほか。


 あらすじはこちら。


 幼い息子・ショーンをバスタブでの溺死事故で亡くした、マーク・ホブソンとジェシーのホブソン夫妻。


 妻のジェシーは、子供を亡くした親のグループセラピーに通っていますが、不眠症に苦しみ、失意から立ち直れずにいます。

 心の溝を埋めるために、8歳の少年コーディを引き取り、里親になることにしました。


 コーディは、3歳で実の母親を亡くし、何度か里親に引き取られたものの、引き取った先が育児放棄したかのようにいなくなってしまうなど、いずれもうまくいかなかったようです。

 頭は良いが、警戒心が強く、睡眠に問題があるというコーディでしたが、ホブソン夫妻は彼を温かく迎え入れます。


 コーディは子供なのになぜか、眠気を覚ますカフェイン剤などの刺激物を隠し持ち、服用していました。

 眠ると、「キャンカーマン」という怪物が来るので、眠りたくないと言います。


「怪物なんて来ないわ、安心して眠りなさい」と、ジェシーがコーディを安心させて寝かしつけると、リビングに色とりどりの無数の美しい蝶が現れました。


 ホブソン夫妻の目の前を、輝く蝶が飛び回り……その幻想的な光景に、驚いて声も出ないくらいでしたが、しばらくすると蝶はふっと消えてしまいました。


 マークは蝶を捕まえ、ガラス瓶の中に一匹閉じ込めていたのですが、その蝶も消えています。


 学校から帰ってきたコーディは、ホブソン夫妻と一緒に写っているショーンの家族写真を見つけました。

 ショーンについて尋ねられたジェシーは、昔撮影していたホームビデオの映像を見せて、「ショーンは今、天国にいるのよ」と話します。


 するとその晩、コーディが寝静まったあと、リビングには昨晩と同じく蝶の群れが出現。そしてなんと、生きているショーンが現れました!

 感極まってショーンを抱きしめましたが、コーディが起きてきた瞬間、ショーンも、蝶の群れも、ふわっと消えてしまいました。


 コーディは蝶が好きで、蝶の図鑑を持っていました。

 もしかすると、コーディの見た夢が、現実になって現れるのでは……?


 次の晩もショーンは現れました。

 しかし、コーディの見る悪夢の怪物「キャンカーマン」も現実に現れ、コーディの通うクラスの中で行方不明者が続出。


 コーディは「キャンカーマン」を恐れて、眠らないようにカフェイン剤を飲みますが、「幻でもいいからショーンに会いたい!」とジェシーは、コーディに睡眠薬を飲ませて寝かしつけてしまいました。


 その日から、ホブソン夫妻の前にも怪物「キャンカーマン」が出現するように……。


「見る夢が現実となって現れる」超能力を持つ少年が生み出した、「悪夢の怪物」を巡るサスペンス・ホラー。


 眠っている時に見る悪夢が現実に影響するので、寝てはいけない……という恐怖は「エルム街の悪夢」を連想しますが、この作品は根底に「少年が抱く、母親への無垢な愛情」があるので、単なるホラーというよりは、感動系ファンタジーっぽい印象になっています。

「キャンカーマン」の正体が分かるラストは、悲しくも、切ないですし。


 見る夢の人物が、現実になって現れてくれるとしたら……あなたはどんな夢が見たいですか?


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