第12回 頭に「し」のつく映画といえば?
「ゾンビ映画」というと、好みが分かれてしまうかもしれませんが……。
1978年、ジョージ・A・ロメロが監督した「ゾンビ」こと、原題「DAWN OF THE DEAD(ドーン・オブ・ザ・デッド)」が、「ゾンビ映画」としての開祖と言われています。
それ以前の白黒映画の時代から、死者が蘇る「ゾンビ」を扱った作品はありましたが、呪術師が死体を操ったり、人間の倫理面に反する不気味な側面にクローズアップされており、今での「ゾンビ映画」の常識である「ゾンビは、本能的に生きている人間を襲って食らう」「噛みつかれた人間も死後にゾンビになる」などのルールを作り上げたのは、やはりロメロの「ゾンビ」でしょう。
この映画のヒットにより、「ドーン・オブ・ザ・デッド」のタイトルをもじった「〇〇・オブ・ザ・デッド」の名を冠する「ゾンビ映画」パロディが山のように作られるわけですが、「ショーンという人物が主人公のゾンビ映画で、ショーン・オブ・ザ・デッドって作ったら面白くね?」とイギリスのある人が思いつきました。
さて、頭に「し」のつく映画、今回は「ショーン・オブ・ザ・デッド」を紹介します。
原題はそのまま「SHAUN OF THE DEAD」。
2004年のイギリス映画。監督はエドガー・ライト、出演はサイモン・ペッグ、ケイト・アシュフィールド、ニック・フロスト、ディラン・モーランほか。
あらすじはこんな感じ。
家電品店に勤めているが、部下からは馬鹿にされ、いい年こいて冴えない大人のショーン。なんか親近感湧くなあ。
ついには、恋人のリタからも愛想を尽かされて別れを切り出されてしまいます。
友人のエドと二人、傷心を慰めるためにパブで一晩中飲み明かした翌朝。なんと、街中がゾンビだらけになっていた!
やばい、逃げないと! でも、リタの前で格好いいところを見せれば、彼女は戻って来てくれるかも!
プライドや生存本能がごちゃまぜになりつつ、ショーンはエドと共に、行きつけの「ウィンチェスター・パブ」に立て籠もろうとするのですが……。
タイトルからして、「ドーン・オブ・ザ・デッド」のパロディなのですが、内容もゾンビ映画に対する愛に溢れるパロディや、シニカルなユーモア満載の内容になっているコメディです。
ゾンビに襲われるホラーな場面はあるけれど、観ていて、大笑い・大笑い・時々怖い・大笑い、くらいの割合。
唸り声をあげながら、よたよたと歩いている男がゾンビかと思わせつつ、実は寝起きで足元がふらついているだけの主人公・ショーンだったり、日常のなんでもない歯磨きシーンにものすごく凝ったカット割や効果音を入れたり、二日酔いで俯いているせいで、周囲のゾンビに気づかないまま近所のコンビニで買い物をして、フツーに家に帰ってきたり。
ちなみに、ゾンビ映画において、
「ゾンビって、生きている人間とゾンビをどうやって区別しているの? 共食いしないの?」
という長年の疑問がありますが。
女優志望の女の子・バーバラから「ゾンビのフリをする演技指導」を受け、ゾンビのマネをしながら「ああ……うう……」と唸りながらゆっくり歩くと、本当にゾンビが騙されて、襲ってこなかったりして。
「ゾンビの真似をしてあーうー言いながら愚鈍そうに歩いたら、ゾンビの群集の中でも紛れてごまかせる」
を本気でゾンビの対処法として実行した記念すべき第一作であります!
多分、二作目以降はないでしょうけどね!
ついケータイが鳴って、反射的に取り出して「もしもし」と電話にうっかり出てしまって、周りのゾンビに「生きている人間がいる」ってバレちゃった!というシーンは笑えます。
クィーンをBGMに、ストンプよろしくリズムに合わせてゾンビをボコボコ殴るシーンなどは、腹を抱えて笑える大好きなシーンです。
イギリスらしく、武器はクリケットのスティック。
脇役たちもキャラが立ってていいんですよねー。ラストシーンの、エドとの友情にホッコリしたり。
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