EPISODE6 陽葵くんと蘭さんの友達


華=日向ひむかい 華恋かれん 

彩=御藤みとう 彩音あやね

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宗「おう、二人とも」

莉「蘭ちゃん、ひーくんもおはよ~」

蘭「ん。おはよう」

陽「おはようございます」


お買い物デートの週明け。

いつも通り宗弐さんとりっちゃんに挨拶して一限目の準備をします。


蘭「陽葵。今日一限目なんだっけ」

陽「数学Ⅰです」

蘭「あ~・・・そういえば今日朝から数学の日だったか・・・」

陽「そうですね・・・今日は蘭さんのお気に入りのおかずも入ってますから、頑張りましょう!」

蘭「・・・ああ!そうか!毎週月曜日は作ってくれるんだったな!」

陽「そうですよ?・・・忘れてました?」

蘭「うん・・・忘れてた。ごめん」


シュンとした蘭さん久しぶりですね・・・かわいいです。


陽「いえいえ。今日が初めてですから仕方ないですよ。意地悪言ってすみません」

蘭「うう・・・陽葵ぁぁ・・・ありがと・・・」


何故か感動されてしまいました。

僕そんなすごいことしてないんだけどなあ・・・


華「も~蘭ったら陽葵君のこと好きすぎでしょ~」

彩「度が過ぎると嫌われるわよ?」


え?


蘭「お、華恋に彩音か」

華「おっは~」

彩「おはよう」

蘭「ん。おはよう」


おっとビックリした。

この二人は蘭さんの友達の日向華恋さんと御藤彩音さん。

と、言われても知らない人ばっかりだと思うのでこの場を借りて少しご紹介をさせてもらいますね。


まずは日向華恋さん

髪は明るい茶髪で軽くウェーブがかかっていて、目は金色。制服を少し気崩して軽く化粧もしているいわゆるギャル系の人で、その見た目から先生に注意されることもしばしば。

ただ授業態度はすっごく真剣で勉強も人並み以上にこなす真面目な一面もあるため、先生もきつく指導はせずあくまで『気をつけろ』程度なんだそう。

本人曰く『意見を通したいならそれ相応の努力は必要』とのこと。蘭さんとは違うベクトルで強い人です。


次に御藤彩音さん

つやつやの黒髪を腰近くまで下げ、眼もきれいな黒で細縁の眼鏡をかけたTHE真面目さんな人です。

その見た目に違わず、成績は学年トップクラスでこのクラスの総務委員を務めるすごい人です。最初のころはみんなから畏れられていましたが、今では頼れる総務さんみたいなイメージになっています。ただ、かなりの人見知りらしくみんなの前では話すのは苦手だそう。

因みに眼鏡はブルーライトカットのためのもので度は入ってないそうです。


蘭「・・・というか彩音。今陽葵に嫌われると言ったか?」

彩「え?え、ええ。言ったけど・・・」

蘭「どういうことだ!?何がいけないんだ!?」

彩「え、ええっと、あなた神戸君に対して重すぎるの。だからやりすぎると嫌われるかもしれないって言ったのよ」

華「いやまあ彼氏が大好きっていうのはわかるけどさ。蘭はちょっと重すぎるんじゃない?」


ああ、なるほど。そういうことでしたか。

でもそれは心配無用というものです。


蘭「ああ、そういうことか。なら大丈夫だな」

華・彩「え?」

華「だ、大丈夫ってどゆこと?」

彩「そ、それは神戸君が決めることじゃ・・・」

蘭「だって・・・」


むぎゅっ


蘭「陽葵は全部受け止めてくれるからな!・・・そうだよな?」

華「え、そうなの?」

彩「・・・ちょっと厳しくないかしら?」

陽「いえいえ、そんなことありません。蘭さんのことであれば何でも受け止められますよ」


当然のことです。


彩「さらっと言い切ったわね・・・」

華「しかも目がマジ」

蘭「陽葵~~~~!!」


ぎゅ~~~~~


陽「あはは。蘭さんそろそろ準備がしたいんですけど・・・」

蘭「おっとごめん。」


うう、恥ずかしかったぁぁぁ・・・

まさか教室で愛を語ることになるとは・・・


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side OTHRES


彩「まさか神戸君があそこまで言い切るなんて・・・」

華「嘘とか出まかせで言ってる感じもなかったよね。」

彩「ええ・・・ほんと」


宗「まあ、なんだ。日頃の行い的に蘭だけが重いって思われがちなんだけどさ、陽葵も人前でしないだけで相当重いぞ?」

華「え、マジで!?」

彩「そうは見えなかったわね・・・」

宗「重いっつうか・・・あいつは、相手のことをほんっとに大事にするんだよな。だからあいつは誰よりも蘭のこと見てるし、調子の変化に誰よりも早く気付くんだよな。ほんと、すげえよ」


華「あーそういう感じなんだ」

莉「しかも気遣い上手で、家事もなんでもできるんだよ~」

彩「そうなの?」

華「えマジで!?」

莉「そうだよ~」

宗「だから陽葵は学年トップクラスの優良物件なんだよなあ。多分だけど」

莉「蘭ちゃんは幸せ者だよね~」


衝撃の事実にポカーンとする二人。


華「い、いやまぁ家事云々に関してはなんとなく想像つくけどさぁ・・・」 彩「あの子(蘭) と同じくらい重いって・・・かなり意外ね」


宗「俺も莉心に教えてもらった時はめちゃくちゃびっくりしたなぁ・・・」


と言いながら、ほぼ無意識に莉心の頭を撫でる宗弐。 莉心は何も言わないが、たいそうご満悦そうに撫でられている。


それに気づいた華恋は 「この二人も同類なんだなあ・・・」と苦笑いを浮かべ るのであった。


う~ん、やっぱり参考書は重いですねぇ。バランスが難しいです・・・


蘭「持つよ」


陽「えっあっ、わっ」


参考書の持ち方に困っていたら蘭さんが非常にスマートに持ってくれました。 うう、情けない限りです・・・


陽「あ、あの自分で持てますよ?」


「いいから。これくらい手伝わせて?」


ら、蘭さんがイケメンです。青春アニメの王子様系イケメン君が言いそうなこ とをさらっと言ってのけられました。 女の子が蘭さんに惚れる理由もわかってしまいます・・・


蘭「私だって、陽葵に買ってばっかりじゃあ気が済まないからね。ささやかな お礼みたいなものだと思ってくれたら嬉しいな。」


陽「あ、ありがとうございます・・・」

蘭「どういたしまして」


よし、これは明日のお弁当はもっと気合を入れて作りましょう。


簡単なデザート・・・ しっとりクッキーも付けて・۰۰


(こうして新たな飯テロメニューが作られるのである)


そこ! 飯テロメニューとは失礼な! (だからなんで聞こえてんだよ)


華「あ、帰ってきた――って蘭はなんで参考書2つ持ってんの?」

蘭「片方は陽葵のに決まってるじゃないか」

華「あ、やっぱりそういうこと・・・」

蘭「やっぱりも何もないだろ?」


何を当然のことを、といった感じの蘭さんと、それに呆れている日向さん。

・・・うん、どんな話をしてたのか大体わかってしまいました。


僕がため息をついていると、横からススっと御藤さんが近づいてきて、


彩「神戸くん、ちょっとお願いがあるんだけど」 陽「はい。何でしょう?」


な、なんか緊張します・・・難しいお願いだったらどうしましょう・・・


彩「単刀直入に言うと、あなたのお菓子が食べてみたいの。種類はもちろん神 戸くんの作りやすいやつでお願い」


あ、思ったより簡単なお願いでした


陽「お菓子、ですか? いいですよ」


彩「・・・え? そんなサラッとOKしてもらっていいの?あ、いや、私としては嬉しい限りなんだけど・・・」


陽「種類はなんでもいいんでしょう?でしたら、もともと蘭さんの分を作ろう と思ってましたから、量を増やすだけなんですよ。」


かなりタイミングが良かったですね。まあ良くなくても作ってましたけど。


彩「あら、そうだったのね・・・じゃあ私と華恋の分、味見程度で十分だから 作ってもらって構わないかしら」


陽「わかりました。頑張って作るので楽しみにしててくださいね」


彩「ええ、楽しみにしてるわ」


華「あやねっち何話してるの?」


日向さんも会話に入ってきました。


彩「ああ、神戸くんにお菓子を作ってくれないか頼んでたの」


華「え!? ズルい!ウチもほしいんだけど!」


彩「って言うと思ったから華恋の分も頼んであるわよ」


華「マジ!? あやねっち神すぎ! ありがと!! ひなたっちもありがとね!!」


陽「ひ、ひなたっち・・・」


は、初めてそんな呼ばれ方しました・・・


彩「ちょっと華恋、その呼び方をいきなりするのはやめなさい! 神戸くんが 固まってるわよ!」


華「あ、ごめん神戸くん」


陽「い、いえいえ。少しびっくりしただけですから」


と、その時でした。


「ひ〜な〜た~~?」

彩・華「ひいっ!!?」


歯さんが地の底から響いてきそうな声で僕の名前を呼びました。


これは・・・あれですね。恐らく・・・


間「私の分はないのか~~!!?」


やっぱり、拗ねてるだけですね。


陽「いえいえ、ちゃんとありますよ。」

蘭「・・・ほんとか?」


彩「ええ、本当よ。神戸くんは、私に「もともと蘭さんの分を作るつもりで、 分量を増やすだけ」って言ってたわ」


間「むう、そうか」


陽「はい。僕が蘭さんのことを考えないわけないじゃないですか」

蘭「~~~~~~~~~っ!!! 陽葵ああああああああああああ!!!!!」


ちょっと、く、苦しいです・・


華「ちょ、蘭!神戸くん苦しそうだよ!?」

蘭 「はっ!?陽葵! 大丈夫か!?」

陽「は、はい。大丈夫です・・」


ちょっと死ぬかと思いましたけど。


彩「だから気をつけなさいって言ったのに・・・」

蘭「うう。ゴメンな、陽葵。つい嬉しくなって・・・」

陽「いえいえ、大丈夫ですから」


すると日向さんが空気を変えるように、


華「とりあえず、お菓子の件ありがと! 楽しみにしてるね」


彩「私からも改めてお礼させて。ありがとう」


陽「あ、はい!」


ふう、それじゃあ材料は二人分にしましょうか。えっと卵があったかな・・・


華「・・・んでさ、宗ちゃんはいつまでそうしてんの?」

宗「・・・え?何が?」

華「いや・・・いつまで撫でてんの?」

宗「え?・・・あ、ごめん莉心。てか俺何分くらい撫でてた?」

莉「ん~?あ~、全然いいよぉ~。う~んと、3分くらい撫でられてたかな?」

宗「スマン日向。マジで無意識だった・・・」

華「・・・だめだこりゃ。」

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イケメン彼女の蘭さんと女子力彼氏の陽葵くん ネコのランタン @NekonoRantan

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