第9話「赤い宇宙がハートを掴む」

「あなたはーッ!

 ──この世に推参し天使を狩っているというのに、どんなに崇められても強者としての責務を果たそうとしない! 身勝手が過ぎます!」


 ミスルトはいったい幾つの杖を変幻自在に振り回しているのだろう。長槍にも見え、短剣にも見え、太刀にも見えるその刃を肉眼で捕らえる事は不可能に近い。

 神をも凌駕する速度は、自らが残す残像さえも切り裂いていく。


 しかして──エネシアの視界に収まるはとそれを操るによる軌道。

 故、対処可能。


「……崇んで欲しいとも頼んだことはないよ」


 ミスルトの攻撃は一つも、彼女にダメージを与えられてはいない。

 杖へと形状を変更し、光弾を放つも、数多く生み出されたエネシアの残像に吸収されていく。


 ──全てを狙い撃ち続けていれば、そのうち本物へと命中するはずッ!


「数撃てば当たる……そんな考えじゃ、魔動力燃料マナを使いすぎちゃうよ」


 すると、エネシアの残像たちはミスルトの方へと体を向け、大錨アンカーを射出した。

 偽物でしかないはずのそれらに全方向から捕らえられ、脱出を試みようとした刹那──後頭部に強烈な打撃が加えられた。

 激痛で意識が霞む中で一瞥した物は、先端が鋭く尖った長盾シールドで殴り終えたエネシア憧れ真顔まがん

 態勢も取れぬまま重力に引きずりこまれそうになった瞬間、エネシアは彼女の腕を掴み、自分の顔の前へと引き上げた。

 エネシアの顔は冷徹のまま、何を見えているのかすらわからない鉄のメイク仮面

 静止したまま少し考るとエネシアは鬱陶しさに溜息をつき、舌に乗せだした。


「私が何のために戦っているのか……しつこいから教えてあげる。これ教えたら帰ってよね」


 言葉の返しはなく、ミスルトは少しずつだが戻りつつある意識で彼女の言葉に耳を傾けていた。

 ここで攻撃すれば良いだろうか、と邪念が過りだし──おのが正義を否定する。

 余裕が故の情けなのだろう。そんな彼女の配慮に無性な嫌気が差すが、その内容を聞いてみたいと思う自分がいるのも確かなのだ。

 それ程に大事な内容、憧れが告白する戦う意味、戦闘の意味。興味がないと言えば嘘となろう。


 茜色の空で二人の魔法少女の時は止まり、エネシアの唇がミスルトの耳もとへと近づいて、静かに告げた。

 羞恥心が混じるので簡略的に話は終わり、耳から離れていく。


 真の理由、それを聞きミスルトの顔は──憤怒の物へと変わっていく。


「……そんな理由で、戦ってたんですか……」

「……そんな?」


 エネシアの片目が気付かれない程度に痙攣する。彼女にとって“ソレ”は活力となり、自分を奮い立たせていた動機だ。それを説教臭い赤の他人にどうこう言われる筋合いは無い。

 されど怒りに狂う寸前の者、リリィ・ミスルト。その手に辛うじて握られていた変幻自在の杖は小刻みに震え、刃や持ち手の長さが長巻の物へと変わっていく。


 怒らせるとはエネシアですらも少し予想外の事だった。

 そして来るは……無論、斬撃強襲。

 されど、ミスルトの一手はエネシアの首皮一枚とて斬ることが出来ず、火花を散らさせるのみ。


「……いったぁ」

「貴方は……そんな理由で魔法少女なんかしてぇ‼」


 ミスルトは大きく後退し、心は狂乱、されど戦闘は染みついた躯に任せ、有効打を見定めていく。


「そんな、理由」


 戦闘の続行を決めた彼女を見て、エネシアは小さく声を洩らし──怒りを露わにした。


「そんな理由で……私は魔法少女をしていたのよ! それ以外でどう戦えというの!」


 彼女の怒声が空気中に電撃プラズマに似た衝撃波を発生させ、ミスルトの躰をピリピリとさせた。


「世界や人類の為を思いなさいよ!」

「傲慢! 勝手に憧れて……勝手に嫌いになっただけでぇ‼」


 ──否否否否否、その正義だけは、その理由だけは間違っている。そんな、たった一つだけの理由正義では

 だったら、その考えを誰かが変えてやらねばなるまい。今すぐ、ここで。


「コン……ノォォォォォ!」


 杖を分離変形させ、双槍ツインランサーを再度神速のまま叩きこんでいく。

 ただ速いスピードで攻撃しているのではない、必要以上に執拗しつこくエネシアの首だけを狙っているのだ。

 先程、攻撃した箇所へと何度も蓄積を重ねて捻じ切る寸法。


 特殊魔製女服ジェネレイティブスーツ着用の際、彼女たちの周りを舞う粒子が全身の細胞一つ一つを専用の細胞ものへと全変換させた上で、あのスーツを装着させる事となる。

 ようは肉体だけは完全に別物の為、心臓を抉られようが首を刎ねられようが変身を解除すれば元に戻る。しかし受けた負傷は、傷跡や残留痛覚となって元の肉体にも残り続ける事がある。


 だからこそ、変身解除に追い込むしかない。それこそがミスルトの今出来る精一杯の勝利活路だ。


 その連撃に対し、エネシアは虚ろな眼で浮遊しながら攻撃を食らい続けていた。

 時折、額や目を刺されるが何も感じない。ピンチすら感じない。


 だが──


「ッ⁉」


 首を斬り刺された八億五千万回目に、エネシアが後方へと吹き飛ばされだした。


 驚きの声を上げたのはミスルトだった。自分の攻撃が遂に通ったのか、勢いよく街の中を飛ばされていく彼女の姿が自分の目に映っている。

 突然の事で呆気に取られていたが慌てて彼女を追跡し、追撃の準備をした。


 エネシアが体制を整える様子はない。衝撃のままに薄桃色の髪とスカートは激しく揺らぎ、そして──河川敷の川へと勢いよく叩きつけられた。

 巨大な水柱が立ち、辺り一面に一瞬の雨が降り注ぎだす。

 そんな光景をミスルトは唖然としたまま見つめ、近くの石畳にゆっくりと降り立った。


 水柱があった中心から白髪の女性が浮かび、首を抑えながら苦しそうに起き上がりだした。

 ミスルトは命運めよりへと姿を戻し、靴も脱がず制服のまま“奈朶音なたね”のもとへと近づいて行く。


 川に足を入れた瞬間、命運の膝が突然力を失ったかのように曲がりだした。


 ──魔動力燃料マナの過剰消費……残りギリギリって感じか、無理もない。


 膝を元に戻して彼女の目の前までやってくると、咳払いをしている奈朶音を見下ろしだした。


 その姿に幻滅してしまいそうだった。捨てられた子犬の様に川の真ん中で全身を濡らしたこの人が私の憧れの正体だったなんて。

 なんと無様な……呆気なさすぎる。


 納得のいかない勝利に違和感を覚えたまま奈朶音の全身を見ていると、ある所で視線が止まりだした。


「──……ッ⁉ ……ッ!」


 突如、命運は奈朶音の胸倉を掴み上げ、雑巾を絞った時の様に服から大量の雫を垂れ落とさせた。


 ──あんなに斬り込んだのに、首に怪我一つない……!


 攻撃を幾度と与え続けたにも関わらず、奈朶音の首は薄っすらな赤い跡すら残っていない生まれたての白い肌その物。


 そういえば、と命運は自分の体に何も感じていないことに気付いた。

 何回かダメージを受けたはずなのに、自分の体には傷跡すらない。エネシアの攻撃が当たれば一撃でも即死必須だというのに特にそんな気配も無い。

 傷跡らしき物も見た限りでは残っていない。

 この場で考えられる事は一つ……彼女はこの真剣勝負の場に置いて、手加減をしていたのだ。


 その事実が──無性に腹立たしくなってくる。


「私の……」


 弱々しい声で、無気力に首が後ろへとぶら下がったまま奈朶音は喋りだす。


「私の負け……正直、舐めてた……あと少しくらいは耐えられると思ったけど、強いね、貴方が今日から地球最強の魔法少女だよ」


 咳込み続ける彼女が吐き捨てた敗北宣言、それすらも彼女の苛立ちを込み上げさせ、手の力を強めさせていく。


「……山戯ざけないでくださいよッ‼

 ちゃ、ちゃんと戦ってくださいよぉ‼」


 くだらないかもしれないが、この戦いは命運にとって一世一代の命を懸けた挑戦だったのだ。憧れの正体に絶望したのであれば、その力と一度衝突し、憧れとして再認識すれば良いと。

 そうであれば、傷跡や残留痛覚など勉強代のようなもの

 だというのに、何だこの為体ていたらく。手加減をしてワザと負けるという見え透いた事をされた。


 ──頼むから憧れのままでいてくれ。これ以上失望させないで。


「貴方がちゃんと戦えば、私なんて瞬殺じゃないですか!」


 最初から薄々気付いていたが、いざその事実にぶつかると空しさすらも込み上げてくる。


「じゃあさ……貴方にとってこんな戦い、何の意味があったの……?

 私をボコして清々せいせいしたかった……? それとも……死にに来たの?」


 奈朶音は問う、真の命運が願う本当の意味を。

 虚ろだった奈朶音の双眸は、テレビで何度も見たエネシアの勇ましい物へと変わり──命運の全身に悪感を走らせ、鳥肌が立たせる。

 無論、自分が強いと思わせる為に戦いに来た訳でも、死にたい訳でも無い。じゃあ私は彼女と勝敗を決する事で……憧れに区切りをつけるかの判別を付けたかったんだ。

 しかし、彼女に勝てる見込みなんて殆ど無い。だからこそあんな条件を付けたわけだし。


 私は……憧れを更に昇華させ、人々の前に立って欲しかっただけで……。


「……そんな深く考えないでよ」


 深考していると痺れを切らし、奈朶音から話しかけてきた。


「こういう場合、負け惜しみの戯言だと思って聞き流せば良いんだよ……」

「あ、あなたはまだ負けてない‼」


 嗚呼、そうか。私はこの人に負けたかったんだ。憧れのままでいて欲しいから。


イラついてるね……手も震えてる……憂さ晴らしに殴ってもいいよ……?」


 彼女の言葉を聞き、命運は自分の拳が震えている事に気付いた。

 この状態であれば、彼女を殴りつける事は出来る。出来るが……そうして、私は幸せになれるのか?


「……あっ、でもお腹はやめてね。……滅茶苦茶痛いから」


 すると、何かを思い出したかのように奈朶音は腹部を擦りだすとシャツを捲り上げ、自分の腹を晒上げていく。

 彼女の素肌を見た瞬間──命運は言葉を失い、我が目を疑った。


 白色の美しい肌、其処には数多くの痛々しい傷跡が浮かび上がっており──臍の上にはまるで埋め込まれたかのような野球ボールほどの大きさがあるが目立ち、主張している。

 ちらりと服の裾からも腕の傷跡が、胸元や肩にも見え、命運の拳に込めていた力が徐々に抜けだしていく。

 自分が付けた物ではない、自分がやったとしたら古傷すぎる。

 これは過去に何度も天使に与えられ続けてきた傷跡であり、歴戦の証。


「それさぁ……十年前からあんの。でっかい天使と戦った時にできたので──相打ち覚悟か知らないけど、腹刺してきてさ。

 油断してた……大して痛くなかったけど、何なのかな、これ」


 彼女が単独で巨大天使を倒し、伝説へと名乗りを上げたあの戦い──その時にやられた物だと。


 黒い痣の正体を命運がわかるはずもなく──それどころか、彼女は奈朶音の服の中に隠されていた傷の数々に終始息を呑んでいた。


 どれだけ強い威力で攻撃されればこうなるのだろう……彼女の幼そうな見た目とは裏腹な証が、深々と全身に刻み込まれている。それも数多く。だからこそ、こんな暑い日でも長袖を着用しているのだろう。

 私も……この人と同じくらい攻撃を受けても、立っていられるのだろうか。


 ──すると、奈朶音の胸倉を掴んでいた腕に誰かが手を掛けてきた。命運は誰かの乱入に反応する事が出来ず、ゆっくりと手の主へと視線を移す。


「……真士しんじ君」

「何やってんだアンタらッ‼」


 彼は剣幕とした表情で命運を睨みつけ、その隙に奈朶音を自分のもとへと抱き寄せる。

 水に濡れるのも気にせず、真士は声を張り命運に話しかけた。


「飛んでるのが見えて追いかけてみたら、なんで魔法少女同士で戦ってんだよ!」


 命運は調子を元に戻しつつ、真士へ冷徹に言い放ちだした。


「魔法少女じゃないあなたには、関係の無いことよ」


 憤りが含まれた言葉に、真士が納得もいくはずもなく更に感情を露わにしていく。


「関係ない⁉ 身内がこんな状態であんたに胸倉掴まれてたのに関係ない⁉

 寝ぼけたこと言ってんじゃねぇぞ! 先輩!」


 瞬間、バシャバシャと音を鳴らし、命運は彼の前髪を鷲掴みだした。

 鼻同士がくっつく寸前まで近づいた彼女の顔は、真士以上に憤怒へと歪んでいた。


「あぁ、関係ないよ。何も知らないでぬくぬくと暮らしてきた君には」


 魔法少女として鍛錬を欠かさず鍛え上げられた彼女の手を振り払うなど毛頭叶わず、真士は捕らえられたまま彼女の話を聞き続ける事となる。


 ──その中で喋り続けていた奈朶音の言葉は、空しくも彼の耳には届いていない。


「何の話なんすか……」

「守られてばっかで戦った事がないくせに……どうこう言う権利はない」


 あまりの態度に真士も引き下がることは出来ず、言葉を返した。


「守られていたって……さっきから何言ってんのかわかんねぇって言ってんすよ!」

「今ある君の周辺の平和も、日常も、町も、人間関係も、保っていられるのはどうして?」


 彼女の言葉に真士の身が固まりだした。言っていることが理解できなかった。今、自分がこうしていられるのはどうしてなのか、あまり深く考えた事もないのにそんな事を言われても直ぐに思い当たる訳が無い。


 ──それでも、真士に喋り続ける奈朶音の言葉は届かない。


「全部……なのよ」


 真士は何も言い返せなかった。言葉も発さぬまま、彼はその視線を抱き寄せたままの奈朶音へと向けた。

 俯いたまま、奈朶音の体が震えている。弱々しく最強の名など無かったかのように。


 すると前髪が引っ張られ、そのまま川へと二人は叩きつけられる。

 真士は奈朶音を庇うような形で倒れ、全身を濡らしてくる川の水がクッションとなり衝撃は抑えられた。

 彼女を抱き抱えながら体を起こし、正義の魔法少女を睨みつける。

 その時のリリィ・ミスルト命運の瞳はいつも以上に漆黒色で、闇の様に沈んでいた。


「そんな守られて、自分だけ彼女に救われてばっかなあなたが、戦う人達に説教を垂れる資格なんてないのよ!」


 そう言って、命運は真士の右頬を殴りつけてきた。

 強い衝撃に脳が揺れ、視界が霞み、口の中で鉄の味がしてくる。

 そのうち彼に跨り、二発目、三発目と拳は来る。

 自暴自棄の八つ当たりだった、正義の為に生きるべきはずのエネシアがこんな奴の為に他の犠牲は構わないと思っているのだ。


 ──許せない、赦せない、許せない、赦せない、許せない、赦せない、許せない、赦せない、許せない、赦せない、許せない、赦せない、許せない、赦せない。


「や、め」


 奈朶音の掠れた言葉は、彼女等には届かない。


 自分は何も出来ぬまま、弟が殴り続けられるのも見ているだけ。

 傷つけられていく、嫌、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌。

 早く、此奴を、早く──

 ボンコイ、ボンコイどこ? 早く来なよ、こっち、変身しなきゃ。




 わかったよ。




 視界──双眸に突然、硝子細工の様なヒビが入り込んでくる。

 二人の顔、景色、今感じている水や風の感覚すらも無へと化す。

 自分の体だ、私がいるのはその肉体のはずなのに、全ての感覚が遮断されていく。

 もしかして、シンちゃんを護るための代償なの? 彼の健やかな日々を脅かす全てを抹殺するための準備なの?




 ──そうか、なら、お願い。




 奈朶音の眸から硝子の破片が毀れ落ちていき、川の流れへと消えていく。

 命運は殴る手を止め、真士は朦朧とした意識下の中──二人は彼女に発生した異様を目の前にする。

 電撃を浴びたかのように体が大きく痙攣しだし、真士の腕の中で──破裂した。


 衝撃で吹き飛ばされるも、二人は彼女のいた方角へと視線を戻す。

 先程まで着ていた服は布切れ以下となって川を彷徨さまよい、肝心の本体の肉片や骨は何一つ残っていない。



 その代わりか、がその場で静かに立ち尽くしていた。



 髪の色や形はエネシアにそっくりで、一部が歪の形状をしているも纏っている特殊魔製女服ジェネレイティブスーツもエネシアそのもの。

 本人以上に肌が色白であれど顔も同一、であるなら奈朶音かエネシアで間違いないはずなのだが──『誰だ』、と二人の疑念は一致した。


 絢爛とした双眸の中は、赤く染まった宇宙の様に広がっている。


 エネシアらしき何かは周辺を見渡した。川の流れる感触を靴で楽しみ、己が身に纏ってくる重力や酸素を感じ、夕焼けに染まる街を見て、ほくそ笑む。

 すると今度は首をぐるりと回し、真士の方へと近寄ってきた。

 真士は姉さんエネシアそっくりの何かに逃げることすらできず、そのまま捕まってしまう。

 顔から青痣が浮かび、血を流す真士の痛々しい頬に彼女は優しく手を重ねてきた。

 この歪な光景に命運は行動する事すら忘れていた。

 エネシアでも奈朶音でもないコイツは何者だ。

 魔法少女リリィ・ミスルトのデバイス、シャインが先程から撤退のブザーを鳴らし続けている。──それも高レベルでの撤退推奨。


 野良猫に興味を持つ子供の様に、真士の姿を観察し続け──そっと彼を抱きしめた。

 何をされているのかすらわからないまま、今度は犬の様に傷ついた両方の頬を舐め回す。

 毛繕いをして整えてあげるように愛でるみたいに舐め、血を全て拭き取っていく。

 頬の残った唾液すら感じず、まるで動物のような行動をする何かに真士の警戒が解ける事は無かった。


 彼の肩に小さな頭を乗せ、自分の方に真士を抱き寄せると今度は嬉しそうに小さく口を開きだした。


Aaaaaa嗚呼呼呼呼呼……」


 刹那、彼女の背中から二十本にも及ぶ赤黒い大鎌サイスが生え──やいばが疾走した。

 夕方の河川敷に有り得る事のない連斬のが幾度となく鳴り終えると、無色透明な水に赤色が混じりだしていく。






 もう、誰にも止めることは出来ない。

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