気に入らねぇ パブロの嫉妬?

※第四話 『あいつが好きなの?』 番外編



(絵理が好きだって言ってた、あの幼馴染。なんか、嫌い…)


パブロは昨日、絵理とラーメンを食べに行き、その時に絵理の幼馴染みの圭太という男子に会った。




回想


「あ、どうも。絵理の幼馴染の広瀬圭太です」

「…どうも。パブロ・グリーンです」

「(名前が外国人…?)…どこ出身ですか?」

「ん?すごい小さいとこ」

「へー。あ、ここ。白醤油ラーメンがオススメですよ」

圭太はニッコリ笑った。

「じゃ、行くね」

「うん、バイバイ」

絵理は手を振って別れた。


中略


「ねぇ、絵理はさ」

「ん?」

「圭太ってやつの事、好きなの?」

パブロは、横目で絵理を見ながら言った。

「え?!。…。あ…そう…かもね」

「…へぇ。…そうなんだ」

「…たぶんね」

「なにそれ」

パブロは少し笑った。

「圭太ね、愛花が好きなの」

「え?!」

パブロは驚いて絵理を見た。

「ハハッ。驚きすぎ」

「…切ないね…」

「そうだね。でも、2人とも好きだし。うまくいけばいいなって思ってる」


回想終わり




まず、あの丁寧な自己紹介。

建前だけの質問。

出身地を聞いておいて、本当は興味がない所。

爽やか風な笑顔。


(何だかいけ好かない)


自分とは反対の、優等生タイプだとパブロは思った。

女子には適度に好意を持たれそうだが、決して憧れの存在になることはないだろう。

なのに絵理は、あいつが好きだと言う。

圭太は絵理の親友が好きなのに。



「絵理」

「何?」

「圭太の好きな所って、どんな所なの?」

「え…」

絵理は顔が赤くなった。

「優しい所?」

「…ありきたりだな」

「…ありきたりじゃダメなの?」

絵理はムッとしたように言った。


「…つまんない」

「ほっとけ」

「ほっておくけど」

パブロは黙った。


「何?」

絵理はパブロが怒って見えた。

「あいつ、なーんか…」

「圭太?」

「…ああいう、どこにでも合わせられる、優等生タイプって、苦手」

「…そうだとしても、別に接点ないし、いいんじゃない?」

「俺がヤツと接点があるとしたら、それは絵理だな」

「…そうだね」

「ま、いいか」

「いいよ」

「見る目ないね」

「うるさい」


「…パブロみたいな人も、なかなかいないよね」

「俺みたいって?」

「自分勝手で、意地悪で、何にも気にしない無神経な人…」

そう言うと、絵理は走って逃げた。


「おい、コラッ」

パブロも走って追いかける。

絵理はどうにか家まで逃げ切った。

「ハァハァ。あれ、鍵が…」

絵理がモタモタしてると、パブロが絵理に追いついた。

「誰が無神経じゃ」

絵理は、ドアを背にしてパブロに追い詰められた。

「だって、嫌な事ばっかり言うじゃん…」

「…そんなに言ってない」

「言ってるよ」

「…そう?」

「うん」

「気づかなかった」

「え?!」

「別に素でいるだけなのに」

「素が意地悪なんだね」

「根っからの意地悪みたいに言うな」

「…ねぇ」

「何?」

「手、どけて…」

絵理の顔が赤かった。

パブロは絵理が逃げられないように、壁ドン状態でいた。

「…あ、ごめん」

絵理は恥ずかしそうに、避けた。

パブロは、それを面白がって、また追い詰めた。

「やめてよ」

「ん?」

パブロは絵理の顔を覗き込んだ。

絵理の顔が、想像以上に赤かったので、パブロは急いで離れた。

「鍵…」

絵理は鍵を開けて入った。


(…もう!顔近いっつーの)


(顔、赤すぎんだろ…)


((やば、ドキドキしてる…))

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