第3話 シリカゲルの青い粒

エージレスは嫌いよ

アイツは長持ちさせるけどいい匂いだって奪っているのよ? 知ってた?


宵越しの菓子は持たねぇ 

って酸化する前に食べちゃったらいいのにね


大人の事情

ありとあらゆるところに地雷のように埋まってる

私だって どこかに たくさん 埋めてきた


永きにわたり君たちを守る!

なんて言っても 開けたら最後だし

一個のマドレーヌだったらいいけど

何個も入ったクッキーならどうするの?


残ったクッキーは なんの加護もなく 置き去りよ

しかもね、魔法には対価が必要なの

そんな有名なお約束の法則 みんな知ってるでしょう?

バリアから解き放たれた子は 酸化が早い

止められていた時間ときが動き出すんだもの

当然 あっという間に歳とるわ

脱酸素剤 空気を奪い去るもの

名前からして あな恐ろしや


昔はピンクの玉で 青くなったらアウト

まだ分かりやすかった

今じゃ板っぱち 効いてんだかなんだか分かりゃしない。

あなたが後生大事に 開けたあとの袋に入れたままのソレ 死体だから


その点

シリカゲルは好き

湿気からしか守ってくんないけど

それでじゅうぶん


途中で開け閉めも自由自在

青い粒 透明になったら お別れのとき

任務遂行お疲れ様でした

まあその前に食べちゃうけど


石灰はまるで 男の人のよう

武骨で あらあらしくて 強くてデカい

でもね お別れの時は 柔わ柔わなの

甘えているのね

それでね 水気のある場所に捨てたら 

もしかしたら発熱発火の恐れありだって おおこわ

知ってた? 庭とかにそれで線ひいたら

蟻が入って来れないのよ またげないんだってさ

死んでもなお利用するって

怖いのは 女の私の方かも知れない


シリカゲちゃん 

なんてったって 水玉で カワイイ

カラッと はじける 青い粒々


眩しい青に 目を細めて 

雨の日も 晴れの日を呼ぶ 憧れ

そんな ひとつぶ











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る