第4話 虹の階段を駆け登るすべを知っている

見ているだけなら よかったのです

思わず近づいて 声をかけてしまいました

そしたら 

ひとこと ふたこと みこと

あなたの声を 聞くことができて

ふっくらと 嬉しかったのです


ひさかたぶりの お散歩で

あなたのお庭の垣根の奥で 

姿を見かけたものだから

大きく手を振ってのごあいさつ


やあやあ君は たしかおそらくきっとたぶん

ほら あの えっと


ああ


わたし ちゃんと わかります

親切なあなたを 困らせたことぐらい は 

あなたは ちっとも悪くない

わたしの特別は あなたにとっては流れ雲


引き際をしらぬ 

雨水のようには なりたくないの


しからば 笑って おいとましましょう


ごきげんよう お元気で


あなたは 見ていなくても 

虹のおきみやげぐらい 

粋に かざらせて 

すぐ消えるから







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