第14話 早咲き桜が咲けば(10)

 すると彼は、少しばかり悩んだ顔──。考える人へと変化しながら。


「う~ん」と唸り声を漏らすと。


 私の方へと視線を変え──。


「俺はお前のような奴は知らん! 会うのも始めてだ!」と。


 桃の花の満開時に会った彼……。


 私山下光流へと桃源郷から舞い降りた神さまのように優しく微笑み、話しかけてくれた。


 ……だけではない。


 私と色々な話しを優しく、中慎ましく話してくれたはずの彼が。


 魔王の如き形相で私のことなど知らないと告げてくる。


 更にこんな言葉も付け加えてくるのだよ。


「だから俺に馴れ馴れしく話しかけてくるな」と。


「ん? あっ! お前、もしかして俺に一目惚れをしたから仲良くなりたいと思って話しかけてきたのか?」と。


(お願い)


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