第13話 早咲き桜が咲けば(9)

 困惑、動揺……ではなく。


 私に対して不快感を募らせたような表情で。


 私を上から下へと舐めるように見詰め。


 そして見詰め終わればね。


「はぁ、お前誰だ?」と。


 私山下光流が予想もつかないような台詞を。


 私に呻るように問いかけてくる。


 だから私は彼に。


「えっ?」と驚嘆を漏らし。


 驚きを隠せない表情をすれば。


「お前、赤の他人の俺様に対して馴れ馴れしくないか?」と。


 彼は前回お会いした時のような神さま、仏さまのような微笑みではなく。


 魔王さまのような怪訝な表情で。


 やはり私へと前回とは打って変わり。


 まるで別人ではないか? と。


 私が脳裏で思ってしまうような口調で訊ねてくるから。


「あ、あの、この先の桃の並木で。私と以前会ってお話しをしましたよね?」


 私は彼の悪態を目にして。


 彼のことが少しばぁり怖いので、恐る恐ると問いかけてみた。



(お願い)


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