第11話 早咲き桜が咲けば(7)

 私は【早咲き桜】の並木を歓喜し、魅了……。


 自身の口から独り言を漏らしつつ。


 無我夢中で自身の自転車のペダルを踏み、速度を上げ──。


【早咲き桜】の並木の中を走り抜けていく。


 更に自身の口から。


「わぁ~。綺麗。綺麗だぁ~。桜の花が綺麗だぁ~」と。


 今度は、私の愛車を立ちこぎしながら、


 少しでも多くの【早咲き桜】の花と花弁が舞う姿が見られるようにと。


 私は背伸びしながら周りの【早咲き桜】の花を見て堪能をした。


 そして本当に花達が綺麗だなと。


 私が心から思っていると。


「あっ?」だ。


 あっ? と私の口の中ら驚嘆が漏れる。


 まあ、漏れるとね。


「……ん?」と。


 私山下光流の耳に。


 風と川の流れの音と共に。


 小さな声が聞こえてきたような気がするから。


 私は自転車のペダルを回すのをやめ、停車をするのだった。



 ◇◇◇



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