ep17 先輩と能力

 この学校には〇〇会と呼ばれるグループ7つあり、その中に〇〇局という更に小さなグループで別れていてこの都市を管理しているというわけだ。 例えば風紀会という役職は学校の決まりや法律を管理し、取り締まりをする。 いわゆる警察のような立場だ。 そんなすごい組織の会長が以前会った小林先輩だ。

 更にその頂点に生徒会というものがあって、すべての仕事の管理まとめや執行などといったこと行っている学校の代表的存在で会員は各会の会長たち。 その会長団をまとめているのが生徒会長だ。 すごくないわけがない。


「ごご、ごめんなさい! 」


「えー、別にタメ口でいいんだけど…… 」


「いやいや…… 」


「よし、じゃあ君は敬語禁止これでタメで話せるよね? 」


 ええええ、無理やり…… 彼はニコリと微笑む。 彼の笑顔は有無を言わせてはくれなかった。 それだけの力があった。


「じゃあ、そういう訳でまたね 」


 彼は手をひらひらと振り、どこかへ出かけていった。


「あぁ、そういえばあの人の正体を明かしたかった訳じゃなくてこれを渡したかったのよ 」


「ん、なんだこれ 」


 ミサンガのような赤と白で編み込まれた紐。 結び目にはキラリと光る石がついていた。


拘束具ミサンガよ、昨日こんなところで寝たって聞いたから急いで作ったのよ 」


「あぁ、わざわざ作ってくれたのか…… 」


 俺は咲夜から拘束具ミサンガを受け取り、腕につける。 しっくりとくる感覚、まだ新品のような感じでゴワゴワする。 ふわりと体が浮くような感覚。 やっと重たい体が軽くなった。


「ところでこれどうやって作ったんだ? 」


「ビニールテープに壊れた腕輪から蓄石ちくせきを取り出したやつを縛り付けただけ 」


 超即席じゃねぇか、絶対一分くらいで終わったやつやん。 蓄石ちくせきとは能力を絞るために使われている石だ。 仕組みはよくわからないが能力発動時の脳波を制限するらしい。


「これ持って近くのアクセサリーショップにでも行ってきなさい 」


「あぁ、ありがとう 」


 俺は財布を取りに自室へと戻った。 ドアの左付近にかけてあるパーカーのポケットに入ってる財布を持って玄関に向かう。 玄関から少し日が傾いた陽の光が射し込む。 まだ明るい、俺の高校生活を表しているのかと考えると嬉しくなる。 そんなことはないと咲夜からツッコまれそうだな。

 入学式まであと3日、どんな友達ができるのか今からワクワクでいっぱいだった。

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