第16話 ポーションの枯渇

聖魔法の使い手は、教会があんなことになり精神的に不安定になっているとのことで領主様が時期を見て私と引き合わせてくれることになった。


その間に、この辺境伯領で医師ギルドの地盤を固めるためにまずは建物を建てるように大工に依頼した。この世界の大工は土魔法使いが多く、木と岩を使った建物が多い。


魔法を使い、平屋が多いため工期は比較的短いのだが、作業の合間に私が口を出すかもしれないということで工事をゆっくりと進めて貰うことにした。


大工長とは知り合いだったため、細かい指示も快諾してもらえた。工事には事故や怪我がつきものではあるのでその関係で知り合ったのだ。


工期で時間をもらったのは小物とオペに使用する部屋割り、従業員の宿直室、家がない人や出張のための部屋等を作ることを考慮してだ。


そういったことに奔走しながらも患者は毎日やってくる。主な患者は冒険者だが、大工や騎士なども珍しくない。


冒険者で多いのは切り傷などが悪化して膿を作っていること、大工と騎士は骨折だ。


膿は取り除いて消毒、そしてポーションで傷を消すだけなので研修生だけでも問題はなくなった。問題は骨折で骨をつなぐための上級ポーションの在庫がなくなったと薬師ギルドから連絡が入った。


どうやら教会が規模を落としたことでポーションが枯渇することを豪商たちが予想したらしく、買占めに出たらしい。薬師ギルドも数を制限して売っていたがその在庫が尽きてしまったようだ。


そのため、骨折の患者は骨折箇所を固定するにとどまり早期回復が出来なくなってしまった。


そんな状態が1週間ほど続いたときに、領主様から聖魔法士について紹介できる用意ができたとの連絡が来た。私は藁にもすがる思いで領主様の館へ向かう。


そこにいたのは、まだ小学生くらいの年齢の女の子だった。第一印象は儚げな女の子と行ったところであったが年齢がまずい。私の所で働くということは血を多く見ることになるし、契約書へのサインが必須になる。


文字の読み書きができるかも不安な年齢でしかも、内容を把握するのはもっと難しいだろう。


「難しいことは私が受け持つから、そんな顔をしなくてもいいよ。それに今はポーション不足で困っている状態だろう。私たちの騎士団からもけが人が多く出ていて困っている。君がこの子に無理な契約を押し付けないことは分かっているし、契約で守ってあげることもできるのではないかな?」


そうして、私は全面的に領主様を頼ることにして聖魔法士、マリーヌとの契約の詳細を領主様とともにつめていくことにした。

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闇魔法士の聖女 るいす @ruis

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