第15話 辺境伯領主様との会談

ロジーナさんが来訪してから3日後、領主様に街を離れる準備を始めたいという話をしたとたん、応接室へと通された。


「それで、なぜ他の街へ行こうと思ったのだ。ここで医師として残るという手もあるはずだが。それとも給金に不満があるのであれば相談の上できるだけ渡すようにするが・・・」


領主様は少し暴走気味で私は呆気に取られていた。


執事さんが止めるまで領主様は話し続け、私の存在を忘れていたようだ。


それはさておき。


「実は、闇魔法士を雇ってギルドを作ろうかと思いまして。その知見と医師を目指す者を探しに旅に出ようかと思っております。しかし、何も準備ができていないためいつ出発するかも決まっておりません。出来れば辺境伯領を中心に町や村を回りたいのですがよろしいでしょうか」


領主様は真剣な顔になって私へ忠告する。


「ギルドを作るのは百歩譲って構わないだろう。ただ構成員を闇魔法士のみにするのは止めた方がいい。それは言いたくはないが教会と似た構造になってしまう危険性をはらんでいる。出来れば来るもの拒まずの方針にのっとってほしい」


「闇魔法士と言ったのは、私が闇魔法と医術を組み合わせているため、教育が簡単なためです。医師になりたいと願うのであれば広く門を広げる気ではいます。そこで聖魔法士や鑑定魔法士を雇うことはやはり難しいでしょうか?」


「教会に属していない者、例えば魔力値が低くて治療も行えない者は雇うこともできるだろう。しかし、それ以外は半強制的に教会が入門させてしまうため難しいだろうな」


「その教会に入門していない人を紹介してもらうことはできますか?」


「構わないが、本当に魔力量が少ないので聖魔法は使うことができないぞ」


「構いません。そこに関しては解決策がすでにありますので」


「分かった。詳しく聞きたいところではあるが、それが君の作るギルドの根幹になるのだろう。そこは聞かなかったことにするから、代わりと言っては何だが我々一家に毒耐性スキルLv10になるまでは面倒を見て貰えないだろうか?」


「分かりました。毒薬には微調整が必要なので他の人に任せることはできないでしょうが、もし私が可能であると判断した場合は、その人に任せてもよろしいですか?」


「最低でも三男をLv10まで見てくれて、契約書を結んでも問題ないと判断した場合は構わない」


「分かりました。そんな才能のある医師になってくれるといいですけれど」


領主様は了解を得られたことに安心したようだ。本来ならば顔に出してはいけないのだろうが私は見なかったことにし私は挨拶をして領主の館を後にした。

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