第10話 見えてきた関所

騎士団のうちの1人がジャンに声をかける。


「支部団長、城にて国王様がお待ちです。

先を急ぎましょう。」


ジャンが立ち上がる。


「ああそうだな。、、ピオ、会えてよかったよ。わざわざひき止めてしまってごめんな。、、また2人で、ゆっくり話をしよう。」


ジャンは最後まで優しく俺に語りかけてきた。



どこまで心の広いやつなんだお前は。

俺はまだ黙っていた。


ジャンは馬に乗り、列の先頭につく。


「行くぞ!」


成果を上げ王都へ帰還した勇敢な騎士団達の行進が再び進み始めた。


俺は結局ジャンに何も返事をしなかった。


しばらく俺の方を睨んだり、言葉をかけてくる奴もいたが、群衆のほとんどは、すぐにまた、騎士団を称える声をかけはじめた。



俺は決めた。

過去の自分と決別しよう。

いま変わろう。


腐った自分を変えれるのは、

やっぱりその自分自身でしかない。


俺は関所に向かって走り出した。






ハァ、ハァ。

やっとみえた、あれがおそらく、

“西の関所”だ。



王都自体は全体を大きな壁に囲まれている。


その中央の丘に高くそびえたつ形で、国王の城があり、その城を囲むようになった中央区があり、さらに王都の壁にかけて丘の下に東、西、南、北区がそれぞれ広がっていた。



今まで王都の外に自由に出られるのは王国の騎士団と魔道士団、上級貴族のみ。


商人や一般の平民は王都の出入りは

関所で認められた時のみ通行することができた。


しかし“王令”の出された今、その関所では大きな変化が起きていた。



さっきから一段と人の行き来が増えている。


関所が近づくにつれて、全身を武装し、それぞれの武器を持った者達が複数人で行動しているのが多く見られた。


王都を旅立つのだろう、これから始まる自分達の冒険に心おどらせ、至る所からワイワイと楽しそうな声が聞こえてくる。


そろそろ関所の門が見えてくるだろうと思っていたとき、なにやら物騒な声が聞こえてきた。


「ぶつかって来たのはてめぇじゃねえか!頭つけて詫びるのが漢の礼儀だろ?!」



なんか聞いたことがある声だ。

というか間違いないな。



「お前、おでの前にイタ!邪魔だった!お前がワルイ!」


声のする方に駆け寄るとそこには案の定、

相手に顔を近づけ睨みつける大男、“ダンマ”と、


喧嘩をなんとか止めようと必死にダンマを抑える従騎士、“パーエム”がいた。

 



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