第3話 寝室の会話①


どうやらシリアスな場面に乱入してしまったみたいだ。


部屋の中央には大きなベットが置かれている。豪華な装飾からして、あれが国王の使うベットだろう。


そしてそのベットの横、椅子に深く座り、天を仰ぐような姿勢で顔色を悪くしていたのは、まさにさっき、熱い演説を行なっていた国王だった。


本当にさっきの国王か?

あんな青ざめた顔してなかっただろ。


俺はあまりの違いに本当にあれが国王なのかどうか疑わざるを得なかった。


「貴様らっ!突然扉を破って侵入してくるなど何者だっ!」


4、5人の兵士たちに長い剣を向けられた。


そこでやっと俺の横の大男が目を覚ました。

どうやら衝撃のあまり、気絶していたみたいだ。


「うぉ!国王はどこだっ!」


大男は勢いよく体を起こし、そう叫んだ。


「なんだ貴様、やはり国王を狙う野党の類か!」


大男を警戒して、兵士が一歩前に迫ってくる。



「ちょ、ちょっ、ちょっぽ待れてくれっ!」


ろれつがうまく回らない。

しょうがない、まともに声を出したのは3週間前、牛乳配達の男と家の玄関口で出会してしまった時にふいに出てしまった時以来だった。

ちなみにその時の言葉は「ふぁっ?!」だった気がする。そんなのはどうでもいいか。



何を言っているか自分でもわからないほどのひどい滑舌だったが、焦る様子は伝わったのだろう。兵士たちはこちらの次の言葉を待っていた。


「まぁまぁ、これ以上騒がしくせんでくれるかの。そやつらは広間にいた者に間違いなかろう。剣を下ろしなさい、我が王国の民じゃよ。」


椅子に腰掛けた老人(声色からして間違いなく国王だとわかった )に咎められ、兵士達は剣を下ろした。


「しかし国王っ!

どんな訳があったとしてもこの者達の行動は、あまりに、、あまりに無礼です!」


兵士の1人が反論する。すると


「国王?国王がいるのか!どこだ国王!顔を見せろっ!」


国王に聞く口じゃねぇだろ。

どこの誰か分からないが、大男のあまりの礼儀のなさにこの俺ですら流石に呆れてしまった。


「貴様っ!国王に対して何という口の利き方っ、、」


「なんじゃ?わしはここにおるぞ。」


無礼を指摘しようとした兵士をさえぎり、

国王が答えた。


「おお!本当に居るじゃねぇか。国王、聞いてくれ!ウグルの森に、くそでかいダンジョンがあったらしくてよ!」


バカが、あったらしいなんて言ったらお前が自分で見つけてないのがバレバレじゃないか。


「ほう、早速“鍵”を見つけて来たというのだな。しかもダンジョンとな。、、はてしかし、、ウグルの森とは、つい最近、似たような話を騎士団長に聞いた気がするが、、。」


顔色は依然としてかなり悪く見えるが、国王は大男の主張にしっかりと反応した。


するとその国王の言葉に兵士の者が反応した。


「ウグルの森のダンジョン、、?そういえばウチの支部団長がそんなこと言っていたよな?」


「ん?あ、ああ、、」


「おいそこの見習い従騎士、それは非公開の機密事項だ、口を慎め。」


「す、すいませんカンリー支部団長!つい口が、、。」


もう言っちゃったじゃん。


隣の兵士に話しかけた兵士がどうやらその上司らしい男に注意を受ける。


「何?もう出回っている情報なのか、、?」



大男は期待したような反応がされそうにないことに不安がった様子で聞いた。


「ああ。先日、地震の影響か、ウグルの森で新しい巨大ダンジョンが見つかった。」


いや言うのかよ。


兵士を静止した男があっさり答えた。







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