第三話 Quest cleared…?


俺が描いていた異世界そのものな光景を見て意気込んだはいいものの・・・だ。

一つ大きな問題があった。

「素手でスライムを倒すのは無理だ。」

どこをどう見たって弾力性に富んだ身体をしてるし素手じゃダメージが入る気がまったくしない。

木の枝とかひのきのぼうすら持っていないんだぞ?無理だってこんなん。

まあ…武器があったからってあれにダメージが通るかはわからないけれど。

それでも無いよりマシかと考えて武器を探そうとさっきからそこらへんを探しているんだが・・・

なんもない。

武器だけじゃなくゲームによっては序盤にも出てくる宝箱的な物もない。探し回って得たものと言えばよくわからない原理で光るキラキラした石くらいだ。高く売れそうだし持っていこうとしたんだが予想外に重かったので断念した。

「やっべぇ・・・マジでなんもねぇじゃん・・・」

俺がもうだめかと諦めかけた時、やっと見つけた。

それは俺がいた神殿から少し行ったところに勇者の剣のごとく突き刺さっていた。

天を衝くことでその存在感を誇示するかのように。

ボロボロで、錆びた木の棒が!

・・・なんで?

なんで木が錆びてんだよ。まずなんで木がないのに木の棒がぶっ刺さってんだよ。

とりあえず…抜いてみる。

少ない脳内辞書で懸命に修飾して凄そうに見せたっていうのにあっけなく抜けた。

なろう系小説に出てくるような実は最強な最弱武器ではないらしい。残念だ。

一度神殿に戻ってじっくり観察してみる。

見た目は木の枝だが手触りは鉄に近い。

どちらかと言えば鉄パイプ。

振り回したらけっこう強そう。

「・・・これでいいか。」

見た目は残念だがひとまず武器(?)は手に入ったわけだ。やってみようじゃないか。

近くにいたスライムに狙いを定めて棒をかまえる。

まったく攻撃してこない水餅のような生命体に少々罪悪感を感じるものの、これはこの世界を最後まで生き延びるための試練のようなものなのだ。なりふりかまっていられない!

「許せスライム!」

スライムめがけて棒を振り下ろした。棒は役目を果たしてスライムの身体を真っ二つに引き裂いた。

破裂したスライムの破片が辺りに飛び散る。

つまりは勝利だ。

「よぉっし!」

初討伐達成。倒したのはスライム一匹だがとても嬉しい。

「ちゃんとドロップアイテムもあるのか。」

破裂したスライムの残骸から細部まで彫刻が施された石のようなものを拾った。

透明で、日にかざせば光る。ガラスみたいだ。

(装飾もされてるし価値のあるものなんじゃなかろうか?)

テレビで見て知ったんだが、前前世には硝子細工に文字や模様を彫ることを生業にしてる人がいたらしい。

綺麗で細かい彫刻ほど高く売れる。そしてスライムはそれ高額商品を落とす。

これはスライムが換金において最強なパターンか?

「そうと分かれば話は早い!この調子でどんどん_______」

__________

「どう?」

「・・・死にましたね。」

「うそ・・・なんで?」

「ポイズンスライムを破裂させたようですね。」

「もぉー・・・運悪すぎでしょ・・・」

「もう少し場所を考える必要がありそうですね。」

「そうね・・・はぁ・・・」

__________

応援がついてました・・・・!

お餅ミトコンドリアさん!ありがとうございます!

随分と遅れましたが失踪する気は毛頭ないのでご安心を!

ではまた!

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異世界だって楽じゃない 熱眠まくら @ryougennnosyoudaihassetu

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