第3話 痛いの痛いの飛んでいけー!

「痛いの痛いの飛んでいけー!」


 綾音は俺のおでこを優しくナデナデする。


「ごめんね……あたしが急に歩かせたから」


 綾音がぎゅうと俺を包み込んだ。

 柔らかな胸に俺は埋められる。

 鼻腔に綾音の甘い匂いが、すうっと入ってくる。

 視覚も嗅覚も推しに奪われて、クラクラしそうだ。

 ここは……天国か?


「……大丈夫? スバルくん?」


 綾音は泣きそうな顔で、俺を見つめていた。

 ここはファンとして、推しを安心させなければ……!

 

「おぎゃあ!」


 まだ言葉を喋れない俺は、とにかく喉を震わせる。

 推しのライブで鍛えた応援だ。


「よかった……本当に」


 綾音がホッとして胸を撫で下ろした。

 

「あ、そうだ! そろそろ、ご飯の時間ね」


 綾音は俺に椅子に座らせた。

 

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