第2話 どんなことでも褒めてくれる推し

「きゃあああ♡ スバルくん、すっごおいいいい♡」

「ぶは!」

 

 ……い、息が苦しい!


 美人で巨乳の女性に抱き締められている俺。

 そう。俺こと五反田康太(ごたんだこうた)は、推しの声優——竹宮綾音(たけみやあやね)の息子に転生した。

 で、俺は今、絢音の胸の谷間にすっぽりと顔を埋めていた。

 0歳6ヶ月になった俺——スバルは、今日、初めて足で立った。

 それで綾音に褒められまくってる。


「スバルくん、ほんっとにすごいよ! さすがあたしの子ね♡ あ〜〜かわいい♡ 好き♡」


 俺の顔に頬をすりすりさせる。

 さすが綾音の肌だ。すげえすべすべだ。

 

「じゃあ、もうちょっと歩いてみよっか! スバルくんならきっとできる!」


 綾音がリビングの絨毯の上に置いた。

 売れっ子人気声優の部屋だから、リビングはかなり広い。ガラスの窓から東京の街が見下ろせる。まだ外に出てことはないが、綾音はいわゆる「タワマン」に住んでいるようだ。


 俺は椅子の足に手をかけて、なんとか1人で立ち上がる。

 ゆっくりと椅子から手を離して、俺は歩き出した。あ


「スバルくんー! すごいすごい! 歩けるなんて天才! イケメン!」


 綾音がめっちゃくちゃ大げさに褒めてくれる。

 推しに褒めちぎられて、正直すげえ嬉しい。


(なんだかんだで、歩くのは久しぶりだからな。慎重に慎重に……)


 うわあ!

 足がもたれて転んでしまった。

 絨毯に頭をぶつけてしまう。


「あ! 大変!」


 綾音は倒れた俺を抱き上げた。

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