第4話

どれほど時間が経ったのだろうか。


僕の頭を規則的になにかが触れる感触がした。


僕は、薄目を開ける。


そこには、真実がいて・・・僕の頭を撫でていた。


その表情は、無表情ではなくとても優しい笑みを浮かべていた。


懐かしい。


昔よく見た真実の表情だ。


この笑顔が好きだったんだ。


教室には、もう誰もいないようだ。


「久し振りだね、真実の笑顔」


「え、起きてた?」


「いま、起きたとこ。

待っててくれてありがとう」


「ん」


表情は、いつものそれとは違うけれど口調はいつも通りだった。


やっぱり、この表情の真実が好きだ。


「えへへ、大好きな真実の笑顔だ」


「か、和弥」


真実は、顔を真っ赤にしていた。


なんとなくわかった。


彼女は、隠しているんだ。


でも、それは僕といるときに緩む。


よし、決めた。


夏休みは、真実をいつも以上に甘やかそう。


そしたら、きっとこの笑顔が見れるはずだ。

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