第2話

自宅から、高校まではそんなに離れてはいない。


歩いて25分くらい。


僕は、その間真実の手と手を繋いだままだった。


彼女も、特に振りほどくこともなかった。


学校に近づくにつれて僕へのやっかみが増えてくる。


まあ、僕はもう気にしないことにしている。


真実のそばにいたいから。


「おい、近江!

おまえ、いいかげんにしろよ」


金髪の男子・・・ほかに特徴のないやつに怒鳴られた。


こいつ誰だっけ?


「誰だっけ?で?なに?」


「金原だ!ふざけんな。

それよりもだ!いやがる遠海さんの手を握りやがって」


「いやがる?なんのことだ?」


僕は、真実の顔を覗き込む。


彼女も首を傾げる。


まあ、そうだよな。


真実は別に僕と手を繋ぐのは嫌いじゃないんだから。


「遠海さんからもなんか言ってやりなよ」


「あなたに関係ない」


「ぐはっ」


金原何某は地面に崩れ落ちた。


僕らは、その脇を通って学校へと向かった。


「和弥はそのままでいい」


「真実がそう言うのは珍しいね」


僕は、にやりと笑って見せた。


真実は、僕の顔を一瞬見てすぐに顔を背けてしまった。


彼女の耳がほんのり赤い気がした。

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