第二章 ゲーム本編へ

第26話入学式

エリス様が表舞台に戻ってから、約2年後……


俺達は王立学園の入学式にやって来ていた。


…………いや、私立ドヘンタイ学園じゃ無いんかい!

何とびっくり俺達が通うのは特に名前も無い、と言うかトワイライト王国で国に認められたしっかりとした学園はここだけなので、付ける必要が無いというのが正しいのだが……


いやお前全然ドヘンタイ学園じゃ無いんかい!

いやね、俺もこう見えて公爵家の長男だ。

何度か王立学園の事は聞いていたが、まさかまんま王立学園って名前とは思わんし、流石に俺もドヘンタイ学園って名前は無いなとは思っていたけど、お前私立でも無いのかよ…………。


もろに詐欺じゃねぇか!


俺が1人心の中でツッコミを入れていると、隣に座っていたキール=トワイライト第一王子が話しかけて来た。


「おいアクトお前何ボーッとしてるんだよ」

「いや、すまんすまん。ちょっとこの学校の名前について考えてたんだ。」

「へー名前って言っても、この学園ってそんな立派な名前だったか?」

「ああ、私立ドヘンタイ学園だな」


俺が真顔でそう言うと、隣に座っていたキール王子は思いっきり吹き出した。


瞬間入学式会場は一瞬静まり返った。


「すいません。続けてください」


王子のその一言で、入学式は再開した。


「おい!何だよそのふざけた名前は!思わず吹き出しただろ!」

「いや、一部界隈(前世)ではそう呼ばれてるんだって」

「マジかよ……」


俺達がそう話していると、これまたお隣に座っている俺の婚約者である、ユウリ=エインズワースが話に割って入って来た。


「お二人共あまりそういう内容のものをこのような場で話すのは少しはしたないですよ。」

「それもそうだな……」

「え!俺も?」


そんな事を話していると学園長の無駄にクッソ長い話が終わった。


「えーゴホン、それでは次は新入生代表の挨拶です」


そう言って学園長が壇上を降りると、それとは別方向から1人の白髪の少女、シャーロット=ホワイトが壇上へと上がった。

そして壇上に上がったシャーロットは、こちらの方をチラチラと見ながら、よくある新入生の挨拶をそっなくこなし、最後に新入生を魅了する様な笑顔を見せて、本来より短くさせた制服のスカートをヒラヒラとさせ、男子達の目線を1人で集めながら壇上からトテトテと降りた。


そして挨拶を終えたシャロは元いた自分の席では無く、何故か俺達2年生の座っている席へとやって来た。


「お兄様!シャロの挨拶見ていてくださいましたか!」

「おう、流石は俺の妹だな!」

「きゃー!お兄様ぁ♡」


そう言ってシャロは俺の首に手を回して抱きつき、それを隣で見ていたキール王子はまたかと言う表情をして、ユウリは慣れた手つきで俺の首にしがみ付く様に絡めているシャロの手を解いて、制服の襟を掴んでシャロを引き剥がした。


「邪魔しないでよ!ユウリちゃん!シャロとお兄様の1年ぶりの再会なんだから!」

「別に私はあなた達兄妹の再会を邪魔をしたいんじゃありません。ただ、時と場合を選んで欲しいだけです。それとシャーロット様、1年ぶりの再会と言いますけど、学校が休みの日の度に私達遊んでましたよね?」


そうユウリに論破されたシャロは、頬を膨らませて何の意味もない反抗をしていた。


「それじゃあシャロ、エリスちゃんの所に戻るね!」


そうして散々暴れ回ったシャーロットはそう言うと、そそくさと元いた自分の席へと戻って行った。


その後は在学生の挨拶でキール王子が挨拶をして、今度はそれを見た女子生徒がキャーキャーと黄色い歓声を上げていた。


そんなこんなありながらも入学式は無事終了することが出来た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る