第22話変態猫耳メイド様

「あれ?エリンさん?」


そう声をかけられたメイド服を着た少女は、自分の名前を呼ばれた事に驚きながら顔を確認して来た。


「…………もしかして以前キール様を蹴り倒していた?」

「そうそう!どうもお久しぶりアクト=ホワイトだ。こんなんでも一応は公爵家の息子だよろしく」

「…………!?こ、公爵家の御子息様でしたか!不注意だったとは言え、ぶつかってしまい申し訳ありません!」

「いやいや大丈夫だよ」


それに表向きには公爵家の長男と単なる執事の娘だけど、実際にはお相手さんは王家の長女だよ?

知ってて責められるわけないじゃんw

それにこっちも前方不注意でお相子だしね


そうして倒れているエリス様を立ち上げると、エリス様はこちらをチラチラと確認して来た。


「あ、あのそんなに見て何かありましたか?」

「い、いえ!その……御子息様はどうしてその様な格好を?」

「…………。」


なるほど………………エリス様の言う変態とは俺の事だったか。


「い、いや!聞いてくれ!この格好はだな、勿論変だと言うのは分かるが、それ以上に性能がいいんだよ!」

「な、何を言っているんですか?メイド服に性能とかありませんよ?」

「そうだけど!そうじゃないんだ!これは特別なメイド服で……」

「で、ですが…………」


そんな事を話していると廊下の奥の方から、耳に不快感を覚えるキンキンした年増の女性の気持ち悪い声が聞こえた。


「あらあらあらあら?メイドの分際で堂々とサボりとはいい度胸ね」

「も、申し訳ありません!ルイワ様」

「はぁ?何度言ったらわかるのかしら?このグズメイドは!わたくしの事は、ルイワ伯爵婦人様とお呼びと何度言ったらわかるのかしら?」

「た、大変申し訳ありません!ルイワ伯爵婦人様」

「フンっ!まぁいいわ!それでもう1人のグズメイドも挨拶したらどうなの?」


そう話しかけられたアクトだったが、もちろんメイド服を着てはいるがメイドでも何でも無く、更には自分より低い地位の者にそんな上から目線で言われたのは普通に腹が立つし、それに何より今はそれ以上に気になる事があったので、アクトは普通にルイワ伯爵婦人様(笑)を無視した。


「聞いてるのこのグズメイド!!!」

「あ、ダメです!ルイワ伯爵婦人様!?」


そうしてルイワ以下略に襟元引っ張られた瞬間俺は思い出した。


あ!そうだ!コイツだ!エリス様を殺そうとした犯人!


「プッ、何コイツw男?もしかして罰ゲームか何か?」


ルイワ以下略は俺の顔を見ると気色の悪い声を上げた。

そしてそんな俺とルイワ以下略の様子を見ているエリス様はあわあわとしていた。


「ふーん……」

「何よ!その顔生意気ね!まぁ、いいわ今日の所は許してあげる。それじゃあね」


俺が冷めた目で以下略を睨むと、それに怯んだのか何なのか、以下略は俺の襟元から手を離すと、手をヒラヒラさせながら俺達から離れて行った。


「だ、大丈夫でしたか!御子息様!助けに入れず大変申し訳ありません!」

「いやいいよ……けど、ルイワ婦人ね〜」


あのクソババアムカつくな……

確かあそこの伯爵家は、うちとは違う派閥の奴だったよな?

なら、潰しても問題ないかな?


………………まぁ、俺如きには無理な事だけどね!


「大丈夫大丈夫!」

「ですが…………」


いや、本当にこのメイド服は戦闘向きの装備だから大丈夫なんだけど、この感じだと何言ってもダメだよな……


ならいっその事


「じゃあ1つお願いがあるんだけどいいかな?」

「私にできる事であれば!」

「それじゃあ今から君に掛けられた呪いを祓うのを手伝わせてもらってもいいかなエリス様?」


俺はそう言って笑いかけた。

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