第21話バニーガールと訳ありメイド
人の一張羅を散々笑ったキール王子は、俺達を自分の部屋へと招き入れてくれた。
「それでアクト……触手に強い装備って言うのは本当か?」
「ん?あ、ああ……ほ、本当だよ?」
もちろん嘘である。
だがそんなもんキール王子が触手と触れ合わなきゃバレる事はない!
それにそんなに触手に触れる事なんて……
そんな事を俺が考えていると部屋の扉がノックされた。
「キール様お食事をお持ち致しました」
「ああ、ありがとうエリン。わざわざ持って来て貰って悪いのだが、今日は客人が来ているんだ。後で食べに行くから料理長には謝って貰っといてもいいか?」
「かしこまりました。」
そう言うとエリンは扉を開くこともなく、扉の先から居なくなった。
…………………………居た!!!!!
そうだった!忘れてた!そうじゃんキール王子のすぐ近くに触手の申し子いんじゃ!
やっべ〜
まずいまずい
バレる……絶対にバレる…………。
「えーキール王子メイドさんにいつもご飯持って来てもらってるの?恥ずかしいw」
「な!た、たまたまだよ!たまたま、今日たまたま持って来て貰ってただけだよ!」
「本当にぃ?」
「そうですよシャーロット様。まさかキール様がそんな我儘放題している訳無いでしょ?ね?キール様」
「あ、ああもちろんだ。この俺がそんな事をするはず無いからな!」
…………いや、別にいっか!
バレてもそん時の俺が何とかしてくれるだろ!
そんな訳で俺は早速キール王子にお土産を手渡した。
「王子……これが例のブツです。」
それを聞いたキール王子は目を光らせながら、俺の手元からそれを力尽くで奪い取り、そしてそれを広げた。
「こ、これは!?」
そう驚きながら広げられた物は、白のバニーガール衣装だった。
「アクトこ、これが触手に耐性のある装備か?」
「え?あ、はいそうですね」
「そうか………………そうか」
そう言うとキール王子はバニー衣装をまじまじと見つめながら、深く唸る様に考え込んだ。
因みにバニーガール衣装には勿論のこと触手耐性とか言う物はなく、攻撃力と防御力を上げるだけの単なる近接特化装備だ。
だが、そんなもんゲームの知識が無いと分かるわけもない為、俺は黙っておく事にした。
「あ、すまんキール王子トイレ借りてもいいか?」
「別にそれはいいが…………お前その格好で行くつもりか?」
「何かまずいのか?」
「いやまずいって言うかな……」
そう言うとキールはユウリの顔を何度か確認する様に見ると、ユウリはその視線を感じると諦めた様に首を縦に振った。
「ま、まぁ婚約者であるユウリ=エインズワースが良いと言うのであれば俺は止めんが……」
「すまんな。すぐ帰ってくるから」
そう言うとアクトは立ち上がると、そのままキールの自室を後にした。
「トイレ♪トイレ〜♪っと!」
鼻歌混じりに王城の廊下をスキップしていると、廊下の角から歩いて来ていた何かにぶつかった。
「きゃっ!」
その声を聞き俺は女性とぶつかった事が分かり謝りながら手を差し伸べだ。
「あ、すいません。不注意でした……」
「いえいえ私こそ………………って!きゃぁぁぁぁぁ!!!変態!!!」
「え!?変態?どこどこ?」
俺は手を差し伸べたまま周りを見渡したが、この付近には俺達以外は人っ子1人居なかった。
「変態なんて居ないぞ?」
そう言って女性の顔を覗き込むと、そこに居たのはキール王子の妹のエリス様……もといエリンさんだった。
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