第15話決闘
「はぁ?え?決闘何故?どうして?why?」
「何故だと?そんなものこの俺キール=トワイライトが、それが例え不意打ちだとしても敗北、それも一方的な敗北したままと言うのは、トワイライト王国第一王子としてのプライドが許さぬからだ!」
「なるほど……」
…………めんどくせぇ!
え?負けたからって、わざわざうちまで来て決闘すんの?王子が?
それも敗北って、あんな状況で逆に誰が勝てるって言うんだよ!
いいじゃんあんなの無視してさ?
別に俺、わーい僕ちん第一王子に勝負して勝ったぞ!なんて言いふらさないぞ?
と言うかお前え!
王子!
俺は覚えてるぞ?貴様確か本編ではめちゃくちゃ強かったよな?
そんなの相手に魔法もまともに使えん奴が勝てるとでも?
はっ!勝てるわけねぇだろ!舐めてんのか?
「あの、王子本当に決闘なさるんですか?」
「ああ、勿論だ」
「ですが王子は昨日の件で怪我をしていますよね?」
「気にするな」
気にするはボケナスが!
俺は公爵家の長男だ。
大抵のやつには大きく出てもお家パワーで何とかなるが、そんな俺でも敵わない相手もいる。
お前だよ!お前ら王家の人間に、それも俺が昨日不意打ちでボコボコにして怪我させた相手と戦えと?
俺を容赦の無い鬼畜野郎にするつもりか!
…………だが、王子の命令とあれば断る事もまた出来ぬ事だ。
はぁ……マジ最悪。
そんな訳で俺とキール王子は決闘する事になった。
決闘場所は王家の長男と公爵家の長男の決闘なんて誰かに見られたら面倒になる為、我が家でも俺の我儘でほとんどの人間が立ち入らない中庭でする事となった。
「はぁ……まさかまたここに来るとはな…………、」
「お兄様!」
「おいそこのバカップル兄妹、さっきからそうなのだが我も居ることを忘れていないか?」
「「?」」
「マジか……無意識かよ」
何言ってんだこの王子は?
俺とシャロが恋人な訳ないだろ?
頭イカれてんのか?
「それでキール王子?決闘のルールはどうしますか?あんまり本気なのは普通の庭なんで困るんですが……」
「ああ、それぐらい分かっている。ルールは魔法無し武器は……ロングかショートどっちがいい?」
「どちらかと言えばショートですね。」
「なら武器はショートソードのみで、先に相手に一発当てた方の勝ちでよいか?」
「自分はそれで大丈夫です」
「ならばルールはそれで決まりだな。審判は……シャーロット=ホワイト貴様に任せても良いか?」
そう聞かれたシャーロットはアクトの方へと目線を移すと、アクトはそれに首を縦に振った。
「わ、わかりました。審判はシャロがつとめます!」
「よし、ならばこれで大丈夫だな」
そう言うとキール王子は一緒に付いて来ていた護衛から、木でできたショートソードを2本受け取り、その内の一本を手渡して来たので、俺はそれを受け取った。
「貴様はもう良い下がれ」
王子がそう言うと、警備の人間は王子に何か言いたげの顔をしたが、それでも王子の命は絶対なのでそのまま中庭から出て行った。
「いいんですか?アレ王子の護衛の人達ですよね?」
「構わん、それともなんだ?ここは近くに護衛が居なければ、安心できないほどの危険地帯なのか?」
「いや」
「なら問題無いであろう」
そんな訳で俺と王子は互いに距離を空け、利き手には剣を持ちそして構えて、シャロの合図を待った。
「それではキール第一王子とお兄様の決闘を開始します。始め!」
その掛け声と同時に、俺は手に持っていたショートソードを王子の顔面目掛けて投擲した。
まさか初っ端武器を投げつけられるとは思っていなかった王子は、取っていた構えを崩し飛んできたショートソードを、少しバランスを崩しながらも何とか弾く事に成功した。
「これで終わりか!アクト=ホワイト!」
そう叫んだキールだったが次の瞬間には、腹に重い一撃を喰らいその場に膝をついた。
「んぐっ……どうやって」
「いぇーい!はい、俺の勝ちー!なんで負けたか明日までに考えといて下さいね?」
「流石はお兄様です!」
アクトは剣の投擲と共に、王子の視界から隠れる様に姿勢を低くして、そのまま王子の腹目掛けてタックルをお見舞いしたのだった。
「何故この俺が、2度も同じ相手に負けたのだ……」
「いや〜普通に舐めてたからじゃ無いですか?」
「なんだと?」
「いやだって普通に俺が王子の立場だったら、魔法のみでの決闘にしますよ?それなら絶対に勝てるし、それなのに王子はハンデのつもりか何なのか知りませんが、魔法の使用を禁止しましたよね?他にも怪我をした状態の決闘だったり、俺に武器の種類を選ばさせたりと、そんな事してるから負けたんじゃ無いんですか?」
「シャロはお兄様が凄いから負けたんだと思いまーす!」
「…………」
そこまで言うと王子は黙ってしまった。
「あ、もういいですか王子?これでも自分公爵家の長男なんで普通にこの後用事あるんですけど……」
「わかった……もうよい」
「それでは失礼します」
「失礼しまーす」
「いや、少し待て」
中庭を出ようとしていた俺とシャロはその王子の言葉を聞き、その場で立ち止まり王子のいる方へと振り返った。
「どうかしましたか?」
「アクト=ホワイト……いやアクト、またいつか俺の怪我が治り次第決闘してくれないか?今度は貴様に教わったとおり、何のハンデもやらずの全力勝負をしようじゃ無いか!」
「キール王子!」
「アクト!」
「……あ、絶対に嫌です。誰が喜んでそんな負け戦に挑みますかっての!それじゃあ王子!俺は勝ち逃げさせていただきますね〜!アディオス!」
「バイバーイ!」
「アクト=ホワイトォォォォ!!!」
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