こころの庭 🌿

上月くるを

こころの庭 🌿





 ある小説で心を庭にたとえてあるのを見て、なぜかどきっとしたヨウコさん。

 そっか~、じゃあ、わたしの心の庭は純文学? 歴史小説? ミステリー?


 いろいろあったころはともかく、現在の心の庭はどっちかと言うとSF風かも。

 日によって景色が変わり、得体の知れないものが飛び交うけど、気にしない。


 実際の庭は、荒れているように見せてさりげなく手入れされている庭が好き。

 源氏物語のだれそれの草庵のように、うらさびしくて趣きのある庭がいいな。




      🚚




 では、ヨウコさん宅の庭はといえば、塀とか垣根とか柵の類がいっさいない。

 いつでもだれでも入ろうと思えば好きに入れる解放区(笑)状態にしてある。


 といっても心の庭がおおらかだからではなく(笑)職住超近接時代の名残り。

 狭い市道ですれ違いができるよう、搬入のトラックが乗り入れやすいように。


 そういえば、辛口エッセイスト佐野洋子さんが書かれていたような気がする。

「高級住宅地の塀の内では冷たい家庭生活が営まれているに決まっている」💦


 だが、よく言ってくれましたと膝を打つのはヨウコさんのような貧乏人だけ。

 銭=ステータスと考える金持ち連は塀もない貧相な庭など憐れむだけだろう。


 


      🏠




 拙宅に話をもどすと、植栽は玄関のわきと、突き当たりの倉庫に行く手前に少々。

 あとは一面の砂利の平面を🐕🐦🪲🐈🦋🦖🐜たち が無鑑札(笑)で通過する。


 もっとも、国境ですらなかったものとされているウクライナなどの悲劇を見れば、

 個人の家の境界にこだわること自体、ぜいたくに思えて来たりもするのだが……。


 SF風所有主的には離れ住む家族に贈ってもらった薔薇、透かし百合、ミニ紫陽花

 そこに眠る犬がもっとも大切な宝もので、それさえ無事ならあとはどうでもいい。


 願わくは、いつか呼吸を止めたら、愛犬のそばでずっとだっこしていてやりたい。

 だけど、それはこの国の法律というしばりがあるから、無理なんだよね、きっと。




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