第14話 三河さんが…

え…。

俺、嫌われたのかな…。

いや、でも嫌われるようなことはしていないはず…。

そうか、三河さんはさっきの佐々木からの言葉を気にして話していないのか…。

まったく面倒くさいことになったな…。


「えー中国の孔子は…」


しっかし、退屈授業だ。

大学の講義時間より40分も短いはずなのに、大学の講義より長く感じる。

マジで、1分の長さが異常だ。

この時間感覚だったらウルトラマンもずっと変身してられぞ。

なんか、退屈すぎて眠くなってきたな…。


〜〜〜


「おい、起きろ!おい、ユウキ!」

「んんん…」

「もう放課後だぞ!おい!」

「んー沢田か…授業中は大声出すな。眠れねーだろぉ…んん」

「何寝ぼけてんだよ!もう授業終わったわ!ていうか俺ら以外みんな帰ったわ!」

「え、マジか!わりぃ寝ぼけてた!」


目を覚ましたら、俺を必死に起こしている沢田がいた。

起こしてる姿は未来の沢田の面影があった。


「やっと起きたか、お前ずっと寝てたのか?」


俺の最後の記憶は三河さんに無視されて、古典の授業の冒頭の記憶しかなかった。


「ああ、多分古典の冒頭からずっと寝てた」

「お前な、ちょっと寝過ぎだぞ」

「すまん。と言ってもお前よくあんな退屈な授業寝ないよな」

「いや、古典は寝てた。でも俺はぶっ通しで寝たりしない」


こいつも同類か。


「お前も一緒じゃねーか。いつ起きるかの問題で」

「まあ、こんな言い合いしてても何にもならないから早く帰ろうぜ」


ふと隣の席を見ると、机にはかばんが掛けられていなかった。

三河さん帰ったのか…


「そうだな、帰るか」

「お前、今日は残ってテスト勉強しないんだな」

「ああ、眠いからな。帰って寝るわ」


今日は三河さんいないからテスト勉強しないなんて本音言ったら、なんか勘違いされそうだったので言うのはやめることにした。


昇降口に向かい、靴を履き替え帰路についた。


「そういえば、沢田。後藤どうしたんだよ」

「後藤なら先に他の奴らと帰ったぞ」

「そうか」

「て言うか、お前が起きねーから俺が残ってお前の目覚まし時計なったんだよ」

「わりぃな笑」

「お前、本当に反省してんのか」


歩いていると、噴水公園の前にに差し掛かった。

そういえば、この前この公園のベンチで三河さんと大判焼き食べたっけか。

授業は、時間が経つのは遅いのに日が経つのは早いな。なんなんだこの矛盾は…。

そういえば、つぶあんがおじさんとか言われたな…笑


「おい、聞いてんのか。ユウキ」

「あ、ああ聞いてる。聞いてる。反省してます」

「よし、反省しているならよろしい。寝てもいいがぶっ通し寝るな」

「ほーい。て言うか寝てもいいのかよ笑」

「いや、俺も寝てるから偉そうなことはいえないなと」

「そうか笑」


ふともう一度噴水公園のベンチを見てみると、見覚えのある人が座っていた。

三河さんだった。


「沢田、悪い。先帰っててくれ」

「え、どうしたんだよ急に。もうすぐ駅だろ」

「ちょっと忘れ物思い出して、学校戻るわ」

「え、じゃあ俺もついてくよ」


こいつ、こんな時に優しさ出しやがって。


「いや、1人でいい。むしろ1人がいい」

「あ、そうか。じゃあ俺先帰ってるわ」

「おう、また明日な」

「じゃあな」


俺は急いで、学校に行く戻るふりをして三河さんのところに向かった。

噴水公園の裏入り口ってこんな遠回りだったけか…。

走ると疲れるな…。


なんとか、たどり着いた。


「はぁはぁ…。三河さんこんなところで何してるの?」

「立川さん!?」


三河さんは目丸くして驚いた様子だった。

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