第13話 三河さんと佐々木さんが…

やべー。

俺は慌てて物陰に隠れ、二人の会話を盗み聞きすることにした。


「最近、三河さん立川君と話してるよね」

「まあ、前よりは話すようになりました」

「なんで、立川君とそんなに親しくなってんの?」

「そう言われましても…」


三河さんは、佐々木さんに詰め寄られているようだった。

話している内容は、多分俺関連のことだろう。

それにしても、三河さんが可哀想だ…。

しかし、今話してる内容の当の本人が出てきても何もすることもできないし…。

もっと混乱するだろう…。


俺は、隠れて聞いて唇を噛むことしかできなかった。


「いつからそんな親しくなってんの?」

「いつからと言われましても…」

「とにかく、立川君と関わらないでくれる?ムカつくから」


佐々木さんは、一方的に捨て台詞ゼリフを吐いて食堂の方に歩いて行ったようだった。

もしかして、沢田が言ってた噂は本当なのだろうか…


そんなことを考えいたら、三河さんがこっちに向かって歩いてきたので全速力で逃げた。


あてもなく走っていたら昇降口についたので自販機で適当にジュースを買い近くのイスに座り一休みすることにした。


大変なことになってきたな…。


「本当だな」


「うわびっくりした!なんだよお前かよ」


後ろには神様が立っていた。


「何してるんだ。こんなところでしけた顔して座って」

「いや、なんも…」

「大変なことになったな…立川君」

「また、お得意の観察かよ…」

「まあな、お前が三河さんに接触すればするほどこじれる事態になってるな」

「ああ、これがジレンマってやつか…困ったもんだ」

「にしてもお前、モテモテだなー!おっさんのくせに笑」

「うるさいな。別に1ミリも嬉しくないんだが。ていうか逆に困ってるんだが」


本当に1ミリも嬉しくない。


「このモテ期が10年後に来てたら結婚に困らないのにな笑」

「うるせー。マジで今からバット持ってくるぞ」

「すまん、すまん。でどうするつもりなんだお前は?」

「どうするもこうするも、今まで通りお前からの任務をこなすしかないだろ」

「分かってるじゃないか。あと、分かってるかも知れないが三河さん以外にもろいぞ」

「ああ、分かってる」

「さすが立川勇気だ」


話していると昼休みが終わる予鈴が鳴った。


「行くか、教室」

「そうだな」


俺たちは教室へ向かった。

教室に向かう途中神様が話しかけてきた。


「お前、任務に集中してるくれるのは助かるが、疲れが顔に出てえるぞ」

「マジで、やっぱそんな疲れて見えるか?」

「ああ、あんま悟られないようにしろ」

「ああ」


皆に、指摘されたように疲れが顔に出ていたようだ。

しかし5限は現代文かまた退屈な授業だな。寝ないように気をつけないとな。

教室へ入るとクラスの皆が、もう着席していた。


俺も席につき現代文の準備を始めた。

やっべ、今日授業で使うプリント忘れてきた。

まあ、三河さんに見せてもらえばいいか。


「ごめん、三河さん今日使うプリント忘れてきたから後で見せて」

「…」


三河さんは、ずっとノートと向き合っており返答がなかった。

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