第12話 タイムリープ生活も疲れてきたな

「三河外務大臣の外交についての記者会見の様子です」


テレビをつけるとニュース番組がやっていて三河外務大臣の会見が放送されていた。


「お、三河さんの親父さんじゃん」

「そうだな」

「まさか、この人が将来総理大臣なるとはなー」

「そして、あんな未来になるとは誰も思わないだろうな」

「本当だよなー。なんで総理になろうと思ったのか簡単に知れればいいんだけどな」

「今その任務をお前に任せてるんだろ」

「へいへい」


俺は半ば適当に返事をする。

三河外務大臣は、記者の質問に答えていた。


「大臣、A国との外交はいかがでしょうか?」

「昨日、A国を訪問し首脳と会談しましたが経済的にも協力していくことに合意しました」

「話題変わりまして、いじめ問題です。昨日国の統計によりますと小中高生のいじめの件数が過去最多にのぼりましたこの件について大臣の見解をお聞きしたいです」

「いじめ。これは絶対に無くさなくてはならないものです。なのでこの統計を見て大変遺憾いかんに思います」

「以上三河外務大臣の会見でした」


俺はテレビを消した。


「三河さんの親父さんも大変な仕事してるよな。大臣なんてんさ」

「まあな」

「て言うか、神様いつまでいんだよ。早く帰れよ」

「お前、それが勉強教えてもらった人の態度か」

「すいません、もう夜遅いお時間ですがいつお帰りなるんでしょうか?」

「もう帰るわ。邪魔したな」

「また明日」


こうして、長いテスト勉強が終わり神様は帰っていった。

俺もテスト勉強の疲れか、お風呂に入りベットに倒れるように寝た。


〜〜〜


「いってきまーす」


いつものように家を出て学校に向かう。

タイムリープしてから結構時間が経ったからこっちの生活も慣れてきたな。

でも、使命を忘れてはいけない。俺の使命は三河さんと仲良くなりこの地球を救うこと。


ガララ。


「おはよう三河さん」


三河さんは相変わらず自分の席に座り勉強をしていた。

(本当に真面目な人だなあ)


「おはようございます立川さん。なんか眠そうですね」

「いやー昨日夜遅くまで勉強しててね。もう嫌なっちゃうよ」

「立川さんが勉強!?頭でも打ったんですか?」

「ひどいな三河さん、前に三河さんに言われた通り勉強したんだよ」

「そうですか」

「それだけ!?もっと褒めてくれてもいいんだよ」

「勉強はして当たり前です」


相変わらず淡白な人だなあ。

でも、最初の頃とは違い冗談も言える仲になったんだな。

俺は、嬉しく思った。


「そういえば、三河さんのお父さん昨日会見してたね。テレビで見たよ」

「父のことですか。私は父の仕事のことはよくわかりません。家では仕事の話しませんから」

「ふーん。でも大変そうだったね」

「いつも疲れて帰ってきますからね笑」


そんな話をしていると担任が教室に入ってきてホームルームが始まった。


「テスト近づいてるからみんな勉強するようにー」


ありきたりなことを担任は話してホームルームは終わり一限の日本史へと突入した。


「えー第二次世界大戦。これは、みんなもわかるよな。悲惨ひさんな戦争の歴史だ」


第二次世界大戦か、この時代は戦争は過去の話なんだな。当たり前だけど。

授業中、居眠りするやつもいる。みんな戦争なんて起きっこないと平和ボケしてるんだな。まさか、10年後に世界大戦が起こるなんてこの場の誰一人も思っていないだろう。

俺も、高校時代は微塵も思ってなかったように…


〜〜〜


「立川さん?どうしたんですかそんな険しい顔して。もう昼休みですよ」

「あ、ありがとう三河さん。ちょっと勉強のしすぎで疲れちゃって笑」


俺そんな険しい表情してたのか…

まあ、あの光景思い出せばそうなるか…


「なんか、日本史の授業受けたあたりから険しい表情でなんか考え込んでる様子でしたけど」

「日本史、全然勉強してないから赤点かなーって思ってただけ笑」

「そうですか、ちゃんと満遍まんべんなく勉強した方がいいですよ」

「そうだね、ありがとう」


まさか、10年後に戦争起きるから険しい表情してたなんて口が裂けても言えないな…

しかし、意外と面倒見がいいんだな三河さん。


「ユウキ!飯食いに行こうぜ!」

「あ、沢田か。行くか」


俺たちは、いつも通り食堂へと向かった。

いつも通り350円のラーメンの食券を買う。

そういや、高校時代もずっとラーメン食ってたっけ。

席を取りみんなで昼飯を食べ始める。


「おいユウキ、お前なんか今日元気ないな」

「昨日、夜遅くまで勉強してからかな笑」

「ふーん。しかもお前、最近三河さんと喋ってるけどそんなに仲良かったっけ?」


流石察しのいい沢田。痛いところをついてくる。


「ほら、俺最近放課後勉強してるだろ。その時に仲良くなったんだよ」

「そうか、前なら佐々木さん一筋だったのにな笑」


思い出した、俺は高校時代同じクラスの佐々木瞳さんが好きだった。

でも今考えると、みんなガキだし、なんで佐々木さん好きだったんだろうかと疑問に思う。それだけ高校生の時の視野は狭いのか。


「佐々木さんねー。ノーコメントだな」

「でも、最近クラスで佐々木さん大人っぽいからお前のこと好きって噂だぞ」

「そうなんだ」

「お前、マジでどうしたんだよ。前のお前ならもっと喜んでるだろ」

「嬉しいよ。そりゃ。でも最近疲れててな」

「そうか」


後藤が横槍よこやりを入れてくる。


「ユウキさ、三河さん好きになったんだろ笑。最近仲良いし」

「は、そんなんじゃねーし」

「本当か?笑」


ニヤニヤしながら聞いてくる。


「ああ、こっちも色々あんだよ」

「モテる男は羨ましいねー」

「うるせーな。俺食ったし先戻ってるな」


色々ツッコまれて調子が狂ったので先に戻ることにした。

後藤は相変わらずバカだとして、沢田のやつは察しがいいな…

あいつは俺の異変にうっすらながらにに気づいてるんだろう…


教室に戻る途中、人気のない廊下で聞き覚えのある声がした。


「三河さんさ、立川君と仲良いみたいだけど好きなの?」

「そんなのじゃないです」


声の主は、三河さんと佐々木さんだった。

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