第11話 神様、仏様、神様

ガララ


「帰ったか」

「何でてめーがいるんだよ!!!」


神様が部屋で茶を飲みながらくつろいでいた。


「いや、話があって」

「電話でいいだろ!」

「面倒くさいからな」

「いや来る方面倒だろ。てか何勝手に俺の漫画読んでんだよ!」

「い、いや暇だったから。て言うかこのスパイクファミリーって漫画面白いな」

「うるせえ、勝手に読むな。と言うかお前のせいで妹に誤解されただろ!」

「あーバスタオルの件?すまんすまん。次から気をつける」


神様は漫画を読みながら適当に返事をする。


「こいつ…マジでバットで殴りたい…。て言うか何でお前また妹に茶入れてもらってんだよ!」

「いや、それは妹さんに聞いてくれ。にしてもお前の妹さん…いいね!」

「お前、マジで金属バットで殴るぞ」

「お兄ちゃんは怖いねー。あ、おじさんだった笑」

「これ以上言ったらマジで殴ります」

「謹みます」

「よろしい」


(この神様、マジで腹立つな)


「で、話って何だよ」


俺は、イライラを抑えベッドに座りながら神様に聞いた。


「お前、だいぶ三河葵と仲良くなってるみたいだな」

「まあな」

「どうだ、何か手掛かりとか掴めたか?」


神様が急かすように聞いてくる。


「多少仲良くなったが、手掛かりはまったくだ」

「そうか………。大判焼き一緒に食べたのに!?」

「何でお前がそれ知ってんだよ!この貧乏神!」

「いや、いつもの観察だ。お前、三河さんのこと好きになったのか?可愛いもんな笑」

「んなわけねーだろ。お前みたいな変態と一緒にすんな」

「とりあえず。落ち着くぞ」

「お前が一番落ち着け。ていうか神様何だから三河さんの親父さんが総理大臣になった理由とかわからないの?」

「わからん。だからお前に任務頼んだんじゃないか」

「使えない神だな。やっぱ理由わかんないことにはどうしようもないよな」

「まあ、そうなるな。そっちは三河さんのいじめの件何か情報掴めたか?」

「それも、まったくだ」

「使えない人間だな」

「いや、人間はこれが普通ですけど!わけわからん超能力を覗きに使ったりして役立たずな誰かさんよりかはマシだわ」

「誰だそれ?」

「お前だよ!」


神様とくだらない話をしていると時間が経っていた。


「俺、勉強しなきゃダメなんだけど。このままじゃ赤点だよ…」

「お前は、高校の勉強もわからないのか」

「いやだってもう10年前ですもん。ていうか神様頭良いの?」

「人間の勉強ぐらい朝飯前だ」

「頼む!勉強教えてくれ!」

「まあ、キーマンとして任務に協力してはいるから教えてやるか」

「ありがとう、神様、仏様、神様」

「同じこと2回言ってないか?まあいいや、どこがわからないんだ」

「全部」

「はあ!?全部!?」

「イエス。なんか神様なら暗記できる食パンみたいなのないのー?」

「んな都合のいいものはない!俺お前に赤点取られたら困るからとりあえず教えてやる」

「サンキュー」


そして、神様との勉強会が始まった。


「ここなんだっけ?」

「お前、こんなのもわかんないのかよ」

「いやー面目ない」

「ここはな…」


〜2時間後〜


「あーもう無理、アルファベット怖い」

「こっちも限界だ。人間に勉強を教えるのはこんなにも疲れるなんてな…」

「いやー申し訳ない。でも自信がないな」

「まあ、赤点はないんじゃないか。この様子だと」

「神様、教えるの上手いな」

「ま、まあな」

「予備校講師でもやれよ」

「高校生の設定なのに出来るか」

「忘れてた。俺たち高校生だったんだ」


ガチャ


「おにい、まだ勉強中?そろそろお風呂入れだって。ていうか高校生の設定ってなんの話?」


妹のともえが、お風呂の時間だと呼びにきた。


「お、それはな…演劇の話だ。な!神保君」


首を縦に振り頷く神様。


「ふーん、なんか怪しいけど…神保さん、お兄ちゃんに勉強教えてくださってたんですか?」

「そうそう」

「ありがとうございます。お兄ちゃんバカだけどよろしくお願いします」

「こちらこそさっきはお茶ありがとね」

「はい」


というと妹は部屋から出て行った。


「あっぶねーていうかお前いつから妹とあんなに親しいんだよ!」

「いや、お前の家入り浸ってたらいつの間にか」

「お前もう出入り禁止な。要件は電話か学校で」

「え、なんでだよ!」

「なんでお前こそそんなに家来たいんだよ」

「そ、それは…打ち合わせのためだ」

「本当かよ…まあいいや。テレビつけるからちょっとリモコン取って」

「ほい」

「サンキュー」


俺は、勉強の息抜きにテレビをつけた。

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