第9話 放課後は勉強会だ!!!

昼の授業は、美術だった。


「はいでは、今日はりんごを模写してみましょう」

(りんごを模写ねー。俺絵心ないからなー)


隣を見ると一生懸命に模写している。三河さんがいた。


「三河さん、絵どんな感じ?」

「こんな感じです」


三河さんの絵は立体的でまるで本物のような絵だった。


「すごい、てかめちゃくちゃ絵上手いじゃん」

「いやそんなことないです…」

「俺この絵のりんご食べたいぐらいだもん」

「そうですか笑立川さんはどうですか?」


三河さんに絵を見せる。


「何ですかこの絵は、消化器の絵ですか?」

「いや、りんごです…」

「すいません笑笑」


三河さんは笑いを堪えきれず吹き出していた。


「三河さんひどいな。笑いすぎ、しかも消化器って…」

「本当にすみません笑」


(三河さんは本当にいじめられているのだろうか。そんな感じはしないが…)


「ねえ、三河さん」

「何ですか?」

「今日も放課後教室で勉強する?」

「まあ、取り立てて用事がなければするつもりです」

「じゃあ今日も勉強教えてください!このままだと赤点だよ(泣)」

「大丈夫ですよ」

「マジ!?ありがとうございます!」

(とりあえず、自分の勉強プラス三河さんの様子見するか)


俺は全教科赤点を免れるべく勉強を教えてもらうのと三河さんの様子見をすることにした。


「え、今日もお前教室でテスト勉強するの?」

「ああ」

「ユウキ、どうしちゃったんだよ。ここ最近おかしいぞ乾電池でも食ったか?」

「んなもん食わねーよ。てか食ったら多分死んでるわ」

「じゃあどうしたの?」

「ほら、俺バカだから勉強しなきゃいけねんだよ」

「ほえー」


沢田は俺の変わりように唖然としていた。

まあ、16歳だった奴の中身が急に30手前になってるから無理もない反応だ。


「じゃあ、俺ら先帰ってるぞ」

「ああ。また明日」


商社マンはエセミュージシャンと帰っていた。


10分ぐらい誰もいない教室で音楽を聞いて待っていると三河さんが教室に入ってきた。


「あ、三河さん委員会の仕事終わった?」

「はい、というか音楽イヤホンも付けず聞いてたんですか?」

「うん、まあ教室に誰もいないからね」

「その曲いいですよね」

「うん、この曲懐かしいよねー」

「え、つい一週間前リリースされたばかりじゃありません?」


(やっべーつい本音出てた。俺にとっては10年前の青春の曲だけど今タイムスリップしてたの忘れてたー)


「そうだっけ。ま、まあ一週間前を思い出すなーって」

「それ懐かしいっていうんですか笑」

「俺の中では一週間前も懐かしいの!」

「分かりました笑」

「じゃあ、早速勉強教えてください!」

「はい笑」


こうして三河先生による勉強会第二回目が開催された。


「まずですね、英語の動詞というのは…」


1時間後


「という感じです。立川さん!生きてますか!?」

「ギ、ギリ生きてまーす」

「じゃあ今日は終わりです」

「ありがとう三河さん助かるよ。三河さん教えるの上手いね」

「いえ、それほどでも」


三河さんは、謙虚に返事をしていた。


「そういえば、三河さんどこに住んでるの?」

「隣町の3丁目に住んでます」

「あーあそこかじゃあ電車?」

「はい、たまに迎えの車が来ますが基本電車です」

「なるほど、じゃあ駅まで一緒に帰らない?」


三河さんが驚いたような表情をしていたがすぐ返事が返ってきた。


「いいですよ」

「よーし、じゃあ帰ろう」

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