第3話 懐かしい家族。なんでまたお前がくるんだ!

「た、ただいまー」


恐る恐る家へと入る。


「お、ユウキおかえり」


おかんが出迎えてくれた。


「おかん、ただいま!!!」

「おかん?ユウキいつから母さんのことそんな呼び方にしてんの。ってなんでそんな嬉しそうなの」


高校生の時はお母さんって呼んでいたことを今思い出した。


「あー母さん。母さんただいま。母さんに会えることが嬉しいことなんだよ★」

「なんか今日のユウキ変ね。おだてても何も出ないよ」


おだてても無駄なことはもう十分知ってます、母上。

しかし帰宅した瞬間怪しまれるとは…さすが母上。


久しぶりの母上に涙が出そうになったが堪えた。


2階の自分の部屋に入ろうとすると、妹の友恵ともえに会った。


「おにい、帰ってたの?おかえり」

「ともえ!久しぶりだな!!元気だったか?体は大丈夫か?」

「は?久しぶり?おにい何言ってんの?シスコンかよ」

「ごめんちょっと疲れてるかも」

「じゃあ横になったら」

「ああ、横になる。お前も久しぶりに一緒にどうだ」

「きも」


久しぶりの妹との再会に胸が躍ったが、この世界では久しぶりではないことを忘れていてシスコン扱いされてしまった。しかし、この時代の妹はまだ幼いなと思ったが中学3年だから当たり前かと一人で納得した。


久しぶりの実家の自分の部屋に帰ってきてものすごく感動してしまった。疲れているので、懐かしい実家のベッドで横になった。


■■■


ガチャ

「おにい、ご飯だって」

「んん…」

「もう、寝てるの?」

「…」

「おにい!ミサイル飛んできたよ!」

「なんだってーーー!ともえ逃げるぞ!」

「冗談だよ。おにいこんな冗談信じるんだね」

「そうか…ここは…そうだったな」

「そんなことより、おにいご飯だってさ早く食べに行こ」

「お、おう…」


寝ぼけていたせいか、妹のくだらない冗談にも驚いてしまった。ここは過去だったんだ。夕食を食べるためにダイニングに行くと親父とおかん、妹が全員いて感動した。久しぶりの親父が話しかけてきた。


「おお、ユウキ起きたか」

「う、うん」

「友恵から聞いたけどお前疲れてんのか?」

「そうなんだよね。なんか色々…」

「そうか、ユウキも思春期だからな!なんでも父さんに相談しろよ」

「うん」


俺は親父がこんなにも頼もしい人だったと再確認した。


「おにいったら疲れすぎだよね、私と一緒に寝ようとか言い出したんだから」

「それは、本当に疲れてたんだよ」

「ユウキお前…シスコンか?」

「親父じゃなくて、父さんまでそんなこと言わんといてください」


この冗談まじりの会話、家族全員での団欒、食事全てにおいて懐かしくてなんとも言えない感情になり涙が出てきた。


「あれ、ユウキ泣いてるの?」

「ちょっと、色々あって」

「心配事があったら、母さんにも言ってね」

「うん」


ピンポーン

家のチャイムがなった。


「私が出るね」


妹が出てくれた。


「おにいの友達だって神保さんっていう人が来たよ」

「はああああああ!!!」

「どうしたのおにい?」

「いや、なんでもない。ご馳走様でした。じゃあ友達来たからとりあえず俺の部屋で遊ぶね」

「うん」


玄関に行ったらマジで神様がいた。


「おい、お前何しに来たんだよ」

「電話だと面倒くさいから直接来たんだよ」

「いや、直接来る方めんどくさいだろ、てかなんで家知ってんだよ」

「それは、神様だからだよ」

「いや説明なってないから。まあとりあえずあがれよ」

「分かった」


こいつと話すとどうも調子が狂う。

俺は神様を渋々自分の部屋に通した。


「ここがお前の部屋か。なんかちょっと汚いな」

「うるせーな。黙っとけ」

「なんだこの本」

「お前!それは貸せ!」


俺は急いで、アイドルの写真集を隠した。


「で、話の続きをしようじゃないか」

「ああ、そうだったな」

「本当に俺のことを過去に戻した理由を教えてくれ」

「ああ詳しく話すぞ」


トントン


「おにい、お茶とクッキー持ってきたよ」

「おお、ともえありがとう!」

「で、過去に戻した理由とかなんとか言ってたけどなんの話してたの?」


やべー。普通に会話聞かれてたー。


「ああそのことか、んーとね、んー、過去に俺が体調が悪くて戻した理由の話だよ」

「え、なんでそんな、つまらなくて汚い話してるの?」

「もう吐かないように再発防止のためだ。な神保君!」

「う、うん」

「まー何話してもいいけど、床には戻さないでね」

「ああ、ありがとな」


そう言うと妹はリビングに戻っていった。我ながら見事な欺きっぷりだった。


「あっぶねー」

「なんだお前、妹いたのか」

「そうだけど」

「なかなか可愛い妹じゃないか」

「は?妹はやらんぞ」

「お前は親父か」

「神様、ツッコミできるんだね」

「うるさい、本題に入るぞお前を過去に戻した理由、それは、今の外務大臣三河を総理大臣にするのを阻止するためだ」

「あー未来でも確か言ってな」

「そう、今は外務大臣だが、お前も知っての通り将来あいつは総理大臣になる。それを阻止してくれ」

「話は読めたんだけどなんで俺?神様だったら政治家とか官僚とかに頼めよ」

「それより三河に影響力がある人がお前の身近にいる。それはお前の隣の席の三河葵みかわあおいだ」


神様が提示してきた人の名前は俺の同じクラスで隣の席の三河さんのことだった。

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