おまけ

◇田中Aが神様だった件◇



「おまっ、どうやってこの世界に来たんだよ?」

「何か、あっちの田中先輩に……アタシとキスした事を春山先輩にリークしますけど?と脅した……じゃなかった。なんか〜頼んだら「あれは萩生君とだろう……」とブツブツ言いながらもこっちの世界線?に繋がる通路へ通してくれましたよ」

「マジ?」

「マジです」



◇その後の佐之倉礼央俺様君


「それより何ですか?あの噂?」

「へっ?」

「田中先輩でしょ?「佐之倉礼央は市瀬柚乃を狙っている」とか、あんなくっだらない噂を流したのは……とりあえず、あらゆる方面の女子からアタシ刺されそうになりましたよ……。マジで女子の嫉妬は怖いんですからぁ。アタシ、結局……怖くてサッカー部のマネージャー辞めましたし、佐之倉先輩なんか……(何人いるかはわかりませんが、一応同じ高校の)彼女さんにボッコボコにされてましたよ……」

「いや、それなら結構……いい案だったんじゃ……」

「はぁ、何ですか?」

「ひぃぃぃぃぃ」



◇とりあえずお付き合いをする二人◇


「だから、責任取ってくださいね?」

「(上目遣いで見つめてくるとか、相変わらずあざとすぎるだろ?とは思いながら)お、おう(と返事をするチョロい俺氏)」

「えへへ……」


 まあ、いいか……すげー笑顔だし。



◇おっピーいに釘付けになる今カノさん◇


「うわー、あれが田中先輩の寝取られたっていう元カノさんですか?」

「あーそうやって、人の傷口ザクザク抉るのやめよーね」

「いいじゃないですか、もう終わったことですし、それより、へぇ〜元カノさんって……結構胸があるんですね?」

「何、その白い目……」

「ふーん」


 付き合って早々、口を聞いてくれなくなった。



◇プチざまぁと仲直りを同時に成し遂げるあざと系今カノさん◇


 三日後――。

 二年の教室にわざわざ俺を迎えに来る市瀬。

 何か分からないけど、もっそー騒つく教室。

 涼介とか顔を真っ赤にしながら「誰だ、あのS級美少女は……」とか言っている。

 昔からアイドルとか好きなヤツだが、そんなにガン見してたら夏希に怒られそう……とか思っている俺の制服の袖口を、S級美少女が掴むものだから、今度は教室中が水を打ったように静まり返った。

 勿論、涼介も何か夏希までもぽかーんとしている。

 

「田中先輩……アタシのこと、嫉妬深い女だって嫌になりました?」

「いや……そんなことはないから」

「本当ですか?」

「うん、大丈夫だから」

「えへへ……よかった……。ねぇ、田中先輩、今日はお家へ行ってもいいですか?」

「まーいいけど(コーラあったかなぁ?)」←いつの間にか、当たり前のようにエロゲの世界で飼いなされた犬と化していた俺は……あまり深く考えずに頷くのだった。


 この後、二年B組はバケツの水をひっくり返したような騒ぎになったとか……。



◇彼氏の部屋でエロゲをプレイしてみた今カノさん◇


「ハァハァ……この山本先輩、エロすぎません?」

「だろ?」

「えっ……?」

「ええっ……?」



◇一瞬にして推しがバレた件について◇


「何で山本先輩ルートだけ、全てのスチルが揃っているんですか?アタシのは一枚もないのに」

「あの……市瀬さん?何か……この部屋、酸素薄くないっすか?」

「はあ?何、誤魔化してるんですか?さては推しですか?へぇ〜それはそれはあっちの世界で偽彼氏だとしても嬉しかったですよね?」

「すーはーすーはー」


(これは……セックピーしたことは墓場まで持っていく案件だぞ……)


 俺は心に誓いを立てながら、荒れ狂う暴風雨が去るのを待つのだった。

 


◇寝取られを強要してくる今カノさん◇


「じゃあ、今からアタシのルートもやってください」

「へっ?」

「だから、山本先輩のルートだけじゃなくて、少しはアタシのルートもクリアーしてください」



◇断固として拒否る田中B◇


「いや……俺は市瀬が(例え誠也きゅんだとしても)抱かれている所なんて見たくないというか……」



◇自分の発言が軽はずみだと知って反省したと見せかけてグイグイ迫る今カノさん◇


「あっ、そっか……アタシは何を言って……山本先輩に嫉妬して変な発言しちゃいました。田中先輩……ごめんなさい……。あの……でも……田中先輩さえ良かったら、リアルで攻略してみます?」

「へっ?」

「アタシはいいですよ?」



◇君と僕のデイドリームな二人◇


「市瀬……」

「アタシ、今……田中先輩とこうしてて……すごく幸せです……」



◇一年後も仲のいい二人◇


 冬の白い太陽が緑の芝生を照らしている。

 全日本高等学校女子サッカー選手権、決勝――数多の強豪私立校を破って、快進撃を続ける県立高校。


 その奇跡の立役者である10番が両校0-0で迎えた後半ロスタイム、自らのドリブルから突破口を開き、いい位置でのフリーキック権を獲る。


 ――冬の白い太陽と同じ、真っ白なユニフォーム。


 あれから随分伸びた栗色の髪をポニーテールにして、柚乃はチームメイトとフリーキックをどちらが蹴るかの相談をしている。


 ピーと主審の笛が鳴り、助走したチームメイトに釣られて、壁に隙間が出来た所へ柚乃が後から蹴ったボールが吸い込まれて、そのままゴールネットを揺らす。



 ゴォォォォルゥゥゥゥ!!



 綺麗な弧を描いた芸術的なゴールに沸くスタジアム。


 次の瞬間――チームメイトから揉みくちゃにされる柚乃。


 それでも、君は俺を見つけて手を振った。

 

 飛びきり幸せそうな笑顔を浮かべながら。

 

 この時、俺はふと思う――これは俺だけの最高の隠しルートじゃないか、と。




 

『エロゲの世界へ転生したらモブだった件。』おまけ→おしまい。




 ここまでお読みくださった読者様へ

 ありがとうございました!!

 

 

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エロゲの世界へ転生したらモブだった件。 まかろに @panyorigohan8

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