最終章 Why escape from this dream which cannot last long?
Waltz,1「Minute Waltz」
あっ、どうも。
ベッドの上で膝を突き合わせながら、挨拶をする田中と田中。
ゴォォォと光ってるけど、親近感。
でもなんか、俺の隣でややこしいから説明プリーズとジト目で見つめてくる市瀬。
ねーねー。
あーた、最近、素を見せすぎですよ。
キュルンはどーしたん?
どっかで落としてきたん?
とりあえず俺は頭を掻きながら、今までのことを掻い摘んで話した。
勿論、推しとのセック
「えっと、つまり……この世界はエッチなゲーム「君と僕のデイドリーム」の世界で、アタシはあの山本先輩より人気のあるヒロインで、そのアタシを田中B先輩はエッチな目でずっと舐め回すように見ていたってことですかぁ?」
「まず、誰が田中Bやねん?あと、俺は市瀬ルートは未プレイやからな」
そう、俺は市瀬にはお世話になっていない。
ヤリチン君や俺様君に寝取られても放置したからな。
「はぁ?それって、酷くないですかぁ?どうして未プレイなんですかぁ?」
グイグイと顔を近づけてくる市瀬。
一瞬だけ、綺麗な栗色の瞳が揺れる。
そんな顔をされたら……初見が前カノに似ていたからなんて、口が裂けても言えなかった。
「あと、犀川先輩とか有り得ないですしぃ、佐之倉先輩とか最悪なんですけどぉ」
ヤリチン君は……きっと手段を選ばずに市瀬にお薬を盛ったんだろうけど……。
「佐之倉はフツーに爽やかイケメンだと思うぞ。同性には傲慢で他人を顎で使うような災厄なヤツではあるが……」
「なに、災厄とか上手いこと言ってるんですかぁ?異性にも災厄ですよ。取っ替え引っ替え女の子に手を出して、練習試合の応援席とかカオスですよ。タオルを手渡しただけで睨まれますもん。いつ刺されるかヒヤヒヤしてますし、ある意味ホラーですよ」
なんか、おまえも苦労してんだな……。
「でも、ユーザー人気ナンバーワンヒロインで可愛すぎるアタシに嫉妬するのはわかりますけどね」
オホホホ……と手を頬に当てて、悪役令嬢ヨロシクの高笑いを始めた人気ナンバーワンヒロインさん。
俺はそそくさと前言撤回、人気ナンバーワンヒロインさんを放置して田中と向かい合う。
田中は開口一番、両手を突いて謝ってくる。
「◾️◾️君、この世界に君を連れて来てごめんよ」
あーあー。
やっぱりお前やったんか?
俺をこの世界に連れて来たのは……。
あと、俺の名前はまだ思い出したら駄目なんだな?
でも、ええんや。
あの夢を見たら何も言えない。
それに偶然だけど推しとも三月しゃまとも……ムフフでおっぱいな展開を迎えられた。
その後、ホラー映画並みのぶっ◯され方はしたけど。
ええんや。
ありがとな……。
だけど、もう解っていると思うけど、
「◾️◾️君、僕はフラグを折りたい。君の協力が必要なんだ。僕は……」
ちゃんと言えるか、田中?
「僕は小梅ちゃんを救いたい。僕は小梅ちゃんが好きなんだ!!」
この世界でモブでしかない田中の目に、主人公のような光が宿る。
よしっ!!
やってやりますかー。
まあ、フラグを折るのは簡単なんだけど。
俺は――現在の田中の主人公ムーブをへし折ってはいけないので黙っておくことにしたのだった。
◇◇◇
転生田中君の物語もあと二話で終わります。
皆様の応援や評価に随分と励まされました。
ありがとうございます。
感謝を申し上げます。
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