Opus,10

 一時間後――俺の隣には全裸の三月しゃまがスヤスヤと眠っていた。

 

 いつもの狂犬ヤンキーのような姿からは想像出来ないくらい、先程までの三月しゃまは可愛かった……。


 そして、俺の意志は比例するように雑魚くなった。


 結局、おっぱいにおっぱいされて、おっぱいぱいになった。


 

 はぁ……。



 滅茶苦茶、エロかった。

 


 はぁ……。



 こんなの初めて状態だった。



 はぁ……。



 だが、もし春山さんにバレたら……と思うとゾッとする。

 

 だけど、正直……雑魚いのは俺だけで、この体は悪くないのだ。


 春山さんにはきちんと「田中は無実だ。俺が……おっぱいの誘惑に逆らえなかった」と弁明しよう。


 うん、でも自分で言ってて恥ずかしい……。



 はぁ……。



 俺が溜息を吐きながら、ベッドの下に散らばっている制服をかき集めて着替えていると――




 ガンッ!ガンッ!ガンッ!




 突然、激しいノック音が部屋中に響いた。




 その音で目を覚ます三月しゃま。



 

 刹那、悲愴な表情になり――俺へと必死に腕を伸ばした。




 しかし、ほぼ同時にドアを蹴破って、三月しゃまとそっくりな顔の男が入ってきた。




「貴様!!俺の大事な妹に何をしている!!」


 


 怒髪天を衝くような勢い。

 そして、手にはライフル銃。

 俺は思わず獲物の子鹿のようにプルプルと震え上がる。


 そんな俺を庇う為に、更に腕を伸ばしてくれる三月しゃま。

 


 だけど、全裸。



 次の瞬間――更に荒ぶる男と目が合った。



 あっ、これ絶対あかんやーつだ。


 

 そう思った矢先、トラウマになるほど綺麗に――俺は心臓だけを撃ち抜かれたのだった。


 ポタポタと床に落ちる鮮血。


 まただ……。


 嘘みたいに悲現実な光景。



 そんな最期の瞬間――大粒の涙を流す三月しゃまが見えた。

 


 こうして、俺はこの世界で二度目の死を迎えたのだった。




 ◇◇◇




 目覚めると、オレンジ色の世界だった。


 俺の上へマウントポジションを取るように跨がる山本さん。


 顔を真っ赤に上気させて、俺を見る目はトロンと蕩けている。




「漸く解ったわ。私は……田中君が欲しかったの……」




 あーあー。


 マジかよ……。


 今回はこの日に戻るん?


 色々とおかしくない?


 とりあえず、俺は目を瞑って――心の中で思いっきり叫んだ。





 セーブポイントぉぉぉぉぉ!!





 ◇◇◇


 

 いつも当小説をお読みいただきありがとうございます。


 第二章まで終わりました。

 

 第三章では、田中君がいよいよ……。


 もう間もなく完結ですので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。


 また、沢山の評価や応援、コメントまでありがとうございます。

 深く感謝申し上げます。

 

 

 

 

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