第3章 I only try to express the soul and the heart of man.
Opus,1
二回目も――推しが可愛かった。
俺は両手で顔を覆う。
指の隙間から見える使用済みのゴムが四つ。
――さっき三月しゃまの、多分お兄様だろう人にぶっ◯されたのにも関わらず、可愛すぎる推しの前で俺は無力だった。
あと何か推しの
エロゲに
とりあえず俺はいそいそと制服へ着替える。
はぁ……。
まさか、三月鏡花ルートにあんなバッドエンドが存在していたなんて。
あと、三月しゃまのお兄様も……狂犬だった。
マジ、怖すぎる。
とりあえず、明日――三月しゃまは例の公園でヤリチン君の自称彼女さんとその愉快な仲間達に襲われる。
それを何とか阻止したいが……。
三月しゃまと関わってしまう→三日振りの登校→俺を一人にさせる為に用意されただろう薔薇の花束→強制捕縛→セック
はぁ……。
このバッドエンドルートは、一見すると容易に回避出来るのように見えて、案外一筋縄では行かないルートだ。
なぜなら、俺が何らかの回避行動を取ったとしても、相手の方はそれを踏まえて、柔軟な対応が出来るからだ。
そして、三月しゃまが何気なく言っただろう一言。
『あの日から……。アンタに助けてもらった日から……アンタのことしか考えられない。本当はアンタの家に押し掛けて看病したかった……』
あの時は色々と焦っていて気がつかなかったが、既に田中家の場所を把握済みの三月しゃまには……俺をいつでも強制捕縛出来るアドバンテージがあるのだ。
うん……解っている。
それらは全て俺の言い訳にすぎないことを。
そんなことよりも、
俺は、きっとあの柔らかーいおっぱいの誘惑に抗えない。
それが一番の
はぁ……。
とりあえず、今夜にでも三月しゃまルートの解決策を考えるとして、まずはラッキーアイテムを注文しておかなければ。
これで何かが変わればいいが、きっと気休めくらいにしかならないだろう。
それに、本日お届け便に指定出来る商品はあるのだろうか?
俺は急いでショッピングサイト「サバンナ」を開いてタコのキーホルダーを探す。
そんな風に俺がラッキーアイテムを目を皿にして探していると、ブラを着けている途中の推しが冷ややかな瞳で睨んでくる。
んん?
どうしたん?と尋ねてみるが……。
「私のリサーチでは、田中君ってまだ未経験だったはず。どうして、ちょっと慣れていたの……?まさか、もう春山さんと……」
俺の問い掛けを華麗にスルーして、ブツブツと小声で独り言を言い出す山本さん。
んん?
リサーチ?
地味に俺の推しが怖いんだが。
あと……そういうとこやない?
類友でストーカー先輩を寄せつけてしまうのは。
と、心の中で説教をしておいた。
あと同時期に受信するストーカー先輩からのさよなら僕の凛音メール。
本来は今夜届くはずだったのに、さっきの山本さん……エロかったもんな……。
何か……ごめんって……。
しかし、今の俺にストーカー先輩を気遣っている余裕はない。
ラッキーアイテム探しが最優先事項なのだ。
そして、俺の前に立ちはだかる「現在取り扱いをしていません」の文字。
ねーねー。
タコのキーホルダーって、そんなに人気なん?
俺が一人で唸っていると、俺の肩にちょこんと顎を乗せてくる山本さん。
甘い雰囲気と甘い香り。
そして肩越しに、俺のスマホの画面をスクロールする綺麗な指先。
「田中君……タコのキーホルダーを探しているの?どうしてかしら?」
キョトンとしている推しに、
「明日のラッキーアイテムらしいんすよ……」
俺がボソボソと呟くと、なぜか破顔する推し。
「フフフッ、そういうの信じるタイプなのね。意外だわ」
「そうっすか?」
「ええ、意外よ……」
今度は優しく微笑むから、なぜか俺は困ってしまう。
「明日のラッキーアイテムなら……明日だけ持っていればいいのかしら?」
「あーそうなるっすかね」
「それなら、貸してくれる人を知っているかもしれないわ」
そう言って、くしゃりと笑う推しに――俺は暫く見惚れてしまうのだった。
◇◇◇
「えっとぉー。アタシぃ、苺パフェが食べたいなーなんて」
「…………」
「あのー田中先輩、ちゃんとアタシの話を聞いてますぅ?先輩は……明日、このタコさんのキーホルダーが必要なんですよねぇ?」
「…………」
俺の頬にウリウリと押し付けられるタコのキーホルダー。
どーん!
俺は思わず天を仰ぐ。
よりにもよって……
タコのキーホルダーの持ち主が
◇◇◇
田中君は無事にラッキーアイテムをゲット出来るのでしょうか?
いつも評価や応援、コメントをありがとうございます。
更新を頑張ります。
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