Opus,8
三日振りに登校すると、自席に花が置かれていた。
ぐすん……遠目で見た時はこれって軽いイジメやん?と思ったのだが、近くで見ると腰を抜かすほど豪華な花束だった。
「中央に赤い薔薇だね……しかも12本……」
春山さんは口元をヒクヒクさせながら意味深な発言をしていた。
ねーねー?
これって何か意味あるん?
春山さんに尋ねてみたが、頬を膨らませて拗ねてしまった。
あっ、何かごめんって……。
俺がアタフタしていると、隣席の山本さんが「付き合ってください。または結婚してください。そういう意味だったはずよ」と呟いた。
おおん。
差出人名不明のくせに意味が重い……。
ところで、山本さん。
こめかみに青筋が立っているのは気のせいっすかね?
ううっ、女子二人がきょわいよ……。
何にせよ。
これ邪魔じゃね?
そう思いながら両腕に抱えて教室を出る。
俺が出て行ってすぐに、さっきまで静まり返っていた教室はバケツの水をひっくり返したような騒ぎになっていた。
うん。
もう帰りたい。
あったかい布団の中で永遠に暮らしたい。
とりあえず、俺は用務員室まで運んで、用務員さんに「この花束を放課後まで預かって貰えますか?」と尋ねる。
「……凄い花束だね」
ド派手な花束に、用務員さんは目を白黒させながらドン引きしていた。
それでも預かってくれる。
あざます。
そして、何かすみません。
俺はペコリと頭を下げて、再び教室へと戻る為に歩み始めたのだが――。
俺が階段を登ろうと足を踏み出した瞬間、背後から黒づくめの男達にがっちりと羽交い締めにされると、アイマスクを装着させられて担ぎ上げられたまま――ある場所へと連れて行かれてしまう。
そして、アイマスクを外されると、そこには顔を真っ赤にしてハァハァと肩で息をする三月しゃまがいた。
肩を両手で押さえられながらマウントポジションを取られる俺。
んん?
相手が違うだけで、これってデジャヴじゃね?
それより……三月しゃまの目がイッておられる。
「アンタをココから出したくない……」
ブツブツとヤンヤンデレデレな独り言を言いつつ、俺を熱い眼差しで見つめてくる。
あーあー、テステス。
これって、マジヤバくないですかねぇ……。
俺は全身に冷や汗を掻きながら、ガクブルと震えるのだった。
◇◇◇
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