Oups,9
「どうして、山本先輩の彼氏さんが他の女の子とお昼ご飯を仲良く食べたりしてるか気になりますぅ」
俺が想像した通りの言葉を話しながら、市瀬さんは可愛く小首を傾げている。
「あはっ、急に話しかけてごめんなさい。えっと市瀬柚乃と言います。一年です。山本先輩とは生徒会をご一緒させていただいています。山本先輩に彼氏さんが出来たと聞いて、ご挨拶したいなぁと思い探しに来ちゃいました」
大きな瞳をキュルンとさせながら、俺をじっと見つめて来る。
あ、あざとい。
だが、俺は知っている。
この瞳はキュルンとしていながら品定めをしているのだ。
頭の先から爪の先まで。
そして、山本先輩ってこんなモブと付き合ってるの、とか思ってそうだ。
俺はペコリと会釈して「どうも」とだけ挨拶をする。
感じが悪いとは思うが、市瀬さんの顔を見ていると元カノとの思い出がフラッシュバックしてしまう。
だから、三徹した時も市瀬柚乃ルートにだけは手を出さなかった。
誠也きゅんと結ばれずに、
俺は自分の身が可愛い。
もっそー可愛い。
だから、精神状態に異常を来す原因は排除だ。
という訳で、俺が冷たい態度を露骨に取っていると、流石の市瀬さんも苦笑いしながら立ち去って行った。
しかし、この時の冷たい態度がまさかあんな事件を引き起こすなんて――この時の俺には知る由もなかった。
そして、もう一人。
あの人にも影響を及ぼすことになるなんて思いもしなかった……。
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