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そんな超が着く名門校に合格するはずがないので、
「はい。ここに、通っている小学校と自分の名前を書いてね」
門を入ると、出迎えてくれた中学生のお姉さんにそう声をかけられた。
「は〜い」
ピシッと右手を上げて、
梨音の分も書いてくれると言うので
どうしたのかと手元をのぞき込むと、芽衣はテヘヘと笑って、「
「ごめん。なんか、梨音君の新しい
「いいよ。私もまだ、新しい苗字になれてないもん」
去年、梨音の両親が
「はい」
芽衣が、受付でもらったパンフレットを渡してくれる。
「ありがとう」
「どこ見よっか?」
パンフレットを開く芽衣が聞く。
パンフレットには、学校
「あ、囲碁部あるって、見に行く? 王子さまいるかな?」
「いるわけないでしょ」
囲碁をやっている人みんなが、王子さまのようにカッコいいわけじゃない。
友樹が
「まあ私の王子さまは、ここにいるけど」
芽衣はそう言って、梨音に自分と
「恥ずかしいからやめてよ」
小学校ではいつものやり取りだけど、学校の外ではやめてほしい。
「なんで? 梨音君、冷たい」
芽衣が甘えた声で
(
梨音は、芽衣の腕を
そうやって二人で校内を見て回っていると、中庭の一角に人だかりができているのが見えた。
「なんだろね?」
梨音がパンフレットを確認しようとすると、見にいった方が早いと芽衣が腕を引っぱり、歩くペースを早くする。
(なんだろ、やけに女子とおじさんが多い)
近づくにつれ、集まっている人が、女子と中年の男に人に偏っていることに気づくと共に、みんなんでテーブルを囲んでいるのがわかった。
そして女子の中には「カッコいい」と騒いでいる人たちもいる。
背の高い梨音はヒョイと背伸びして、人垣の間から様子を窺う。
そして、
「――っ!」
「ねえ、梨音君、何が見えるの?」
だけど梨音は、自分が見ているものが信じられなくて声が出せずにいた。
「……」
みんなが見守る先で、机に乗せた
一人はポロシャツ姿の中年のおじさんで、もう一人は碧海学院附属の
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