1
――
「遅い。暑い。10時に校門前で待ち合わせって言ったの、芽衣なのに」
小学校六年生の
少しでも涼しくなるようにと、着ている
そんな梨音の前を通り過ぎていく女子の一団が、こちらに
本人たちはボリュームを押さえているつもりなのだろうけど、振り返ってまで梨音の顔を確認して「カッコイイ」「王子さまキャラ」と言い合っているのが聞こえてきた。
(また男の子に間違えられた)
梨音は短く刈り上げている後頭部を
小学四年生からミニバスをしているせいか、女子にしては背が高く、
性格も服装も男の子っぽいので、男の子に間違えられることが多い。
「梨音君、お待たせ」
背後からは弾むような声が聞こえてきたかと思うと、体当たりする勢いで腰に腕が巻き付く。
「わっ」
驚いた梨音が少し背中をそらせて、背後に視線を向けると、まん丸な目をした長い髪の女の子がにっぱり笑ってこちらを見上げている。
「
文句を言う梨音に、芽衣は「ごめん、ごめん」と謝った。そして腰に回していた腕を離すと、今度は梨音の腕にぶら下がる。
「そんなことより、梨音君、また男の子に間違えられていたね。さすが私の王子さま」
芽衣にも、さっきの一団の声が聞こえていたらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます