第5話 自炊って大変だよね!

 巨熊を川から出して毛皮の汚れと水を落とす為と川の寄生虫対策の為にクリーンをかけてからインベントリに入れる。


 ふと空を見上げると太陽が真上に来ている。

 昼食にちょうど良い時間なのでインベントリから唐揚げ弁当と箸と500mlのお茶を出して昼食にする。

 唐揚げ弁当の唐揚げはとても暖かくジューシーで美味しかった。ご飯が進み、最後はおかずはあるがご飯が無くなった。

 付け合わせの惣菜も唐揚げを引き立てるようにされており、満足のいく一品だった。


 食べ終わった容器等をインベントリに収納してこれからどうするか考える

。一つは屋敷に帰り、巨熊の毛皮を剥ぎ取り肉を各部位毎にブロックにする。

 もう一つはこのまま探索を続ける。最後の案は自分の身体能力を測るのに費やすといったものだった。

 考えた末、身体能力は存在や異能が定着したら変わる可能性があり断念。

 屋敷に帰り毛皮の剥ぎ取りをするには未だ時間が早い。

 結局、探索する事にした。



 川の源流に向かって川沿いに歩き出すと植生が変わってきて色々な薬草や茸が見つかるのでそれをと雑草が一番多いが、中には食用や薬草、触媒の中でも希少なもの等色々と見つかる。

 滝があったので潜ってみると2m程の腰の太さ程の木の枝が沈んでいて、それを蘭奢待らんじゃたいに勝るとも劣らない香木だという事を知り持って行く事にした。

 それら全てインベントリの中に入れていたが、ふとインベントリの中が気になったのでリストアップしてみるとこの世界の世の中の全て意外にも地球での物資が銃火器と乗り物を除いて多く入っていたのには驚いた。

 そういや、初日にビッ○マックや今日の昼食に唐揚げ弁当を食べた事を思い出し、そりゃ地球の物資もあるわなぁと納得した。


 そうこうしている間に源流に着いたのだが山の中腹より少し上辺りから湧き水が湧き出ていた。

 湧き水だから寄生虫も居ないだろうと思い飲んでみる事にしたら、冷えていてもの凄く美味しかった!

 昼休憩後からここまで1時間半程度だったが、マップで距離を調べると普通の人間なら4~5時間かかると思うような距離だった。それを疲れもせずにあちこち寄って疲れもしないのだから自分の体のすごさを感じる。

 そろそろ屋敷に帰って巨熊の毛皮を剥ぎ取ろうと思い湧き水の場所にマーキングをして今度はマップを見ながら動物をよけて一直線に屋敷に戻った。

 30分かからなかったのが凄いと思った。



 屋敷に戻ったのでマーキングをしようとするとすでに登録されていた。

 仕方がないので地下室の作業部屋で巨熊の毛皮の剥ぎ取りにかかる。慎重に行ったので何とか穴を開けずに毛皮を剥ぎ取る事に成功したが、これから皮をなめさなくてはならない。

 だが自分で出来る自信がないので島を出て何処かの町にでも着いたら鞣し屋に持って行こうと思う。ついでに、そこで鞣し方の経験でも積もうかなと思った。


 さて、夕食まで時間があるが自炊するとなったら現代日本よりも大幅に時間を取る必要があるのでキッチンに行く。

 兎のシチューにしようと思うので解体して骨と肉になっている一角兎をこれから骨を取って肉だけにしていかなきゃならない。これに時間がかかる。

 そしてジャガイモ、玉葱たまねぎ人参にんじん、塩と牛乳に相当する物を此方の世界の食材で用意する。

 それらの皮剥きなどの処理をピーラーでしてちょうど良い大きさに切る。炒めた一角兎の肉を鍋から出してそこに人参と玉葱、ジャガイモと順に入れていく。

 入れ終わったら鍋に水を入れてコンソメの素と塩を少し入れ煮立つのを待つ。

 煮立ったらホワイトシチューの素と一角兎の肉を入れて煮立たせた後牛乳を入れて煮立たせたら完成だ。

 完成したのを味見してみると少し塩辛かったので牛乳を足してみるとちょうど良い加減になった。

 初めて作ったにしては上手くいったのではないだろうかと自画自賛するが一角兎の肉が多くて各種材料を足していったら5人前になったのは愛嬌という物だろう。

 この時点で外は未だ明るいのでストレージに夕食を仕舞う。仕舞わなくても良いかと思う人が居るかもしれないが、南国気候のこの島では夕食が冷めるのとすぐに傷みそうなのが怖かったので仕舞った。



 さて、暇になったので気になっていた魔道具作りを始めるとしようか!

 別の作業部屋に行きインベントリから紙とボールペンを大量にコピーして取り出す。

 魔道具作りで大切なのは魔法陣を正確に書く事が必須技能だ。だからフリーハンドで真円しんえんに近い円や四角や三角等の図形を正確に描けるのは魔道具技師では当然の事なんだ。

 しかしながら俺は綺麗な図形を描けないので、大量の紙とボールペンで真円等の図形をを描けるように練習しようという事だ。

 1枚の紙に大きな真円を描き、失敗すると失敗した真円の中に少し離して真円を描く。他の図形も似たような感じだ。これを紙の表裏を使って何度も練習する。

 1時間程で正確な図形や真円に近づいてきた。もう少し頑張れば完全な真円や図形を描けるかもしれない。

もう1時間練習すると見た目では違いがわからない程の精度の大中小の真円や図形を描ける様になっていた。


 「図形や円をかけるようになったけど、魔力ペンと魔力インクやスクロール紙で描けるようにならないとな」


 魔力ペンを数本品質順にコピーしてと魔力インクとスクロール紙も同様に大量にコピをする。それから、先程と同じ練習を始める。


 魔力ペンはペンとは言う物のペン先は四角く尖った水晶の様になっており自分の魔力を紙に描くのをアシストしてくれて、魔力インクをペンの中に吸い込みなるべく均等な線の太さにしてくれるような機能がある。線の太さが違えば違ってくるほど出力が安定しないので線の太さは重要だ。上等な物程線が一定になったり書きやすかったり吸い込むインクの量が多くなったりその他と機能が上等になってくる。

 魔力インクは魔導具を作るのに欠かせないインクで高品質な物程インクに含まれている魔力が高くなっていく。また、色を自由に変えたり見えなくしたりする事も出来る。

 スクロール紙は高品質な物程、魔力を込めやすく込める量が大きくなっている。また、描きやすさや丈夫さが上質でスクロールで魔法の使い捨てを描いた場合の魔法の回数が多くなったりする。


 練習の方だが最初は低品質から初めた。というのも最初から高品質や最高品質を使用すると自分の実力が上がっていかないと思ったからだ。

 ボールペンと紙の場合とペンも紙も低品質の所為か勝手が違うので、まず魔力をのせてか描く事に苦労した。

 魔力を込めるのが多いとスクロールが燃え上がり、少ないとインクを弾く。

 これの力加減に30分程かかった。

 その後は描き辛く少しよれた図形が大量に出来たが、これも30分程で慣れてきて正確な円や図形を描けてきた。


「円や図形がこんなに正確に書けるようになったから、魔法のスクロールでも作ってみるか。何にしようかな?」


 作るスクロールをしばし考えてみる。


「よし、光源のスクロールにしよう!」


 低品質のペンとスクロールを使って光源の魔方陣を描いていく。魔方陣各種の知識は頭の中に入っているので悩む事はない。

 早速、1枚の光源のスクロールが出来たので使用してみる。通常は低級のスクロールは1回切りの使い捨てだ。上級者が描けば数回持つ物が出来るらしい。

 作ったスクロールは無事に起動して光源を出してスクロールが燃えた。


 無事に完成したので時計をと午後11時を過ぎていた。

 慌てて食堂に行き作ったシチューをインベントリから出し、皿に入れて食べる。

 一角兎の肉の味は鶏肉に近い味でシチューはそれなりに美味しかった。

 食べ終わったら、急いで風呂に入り寝る時には翌日になっていた。

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