第4話 初めての外の世界

 異世界に来て初めて起きた部屋で再び目覚める。

 今度は床ではなくちゃんとベットで昨日寝たので起きるのも当然ベットだ。

 ベットは日本の高級ホテルのベットと遜色のない寝心地だった。


 トイレと顔を洗ったら生活魔法のクリーンをかけて顔に付いた水を取る。クリーンは使ってみると非常に気持ちが良い。散髪屋さんぱつやで頭を洗って貰う感じを全身に広げたような感じと言えば良いのか・・・・・・上手い言葉が見つからない。もちろんクリーンは使うと服や靴に下着など身につけている物全てを綺麗にしてくれる。


 その後に朝の食事と生きたいが此方での食料を食べてみたかったのでキッチンに行きソーセージのような物を焼いてレタス擬きと一緒に白パンに挟みこみ食堂で食べてみた。

 中々美味しかったが、食べた後で寄生虫が怖くなったので回復・治療能力の虫下しの能力を使用する事にした。使用した感覚だとこれで30日程は寄生虫に寄生されないようだ。


 さて、朝食も食べたし今日は館の外に出て異世界本格デビューと行く事にした。

 鎧と剣を身につけるのに多少手間取ったが、なんとか身に付け外に向かう。


 俺の柄じゃないけど少しワクワクしながら玄関を開ける。緊張していたのかドアノブからバキっという音がした。慌ててみるとドアノブが壊れていた。どうしようかと十分程悩んでいるとドアノブが自動的に修復されていた。

 再度、今度は力加減に気をつけてドアを開けると上手くいき、目の前には一杯の草原と遠くに山と森が見えていた。



 水場を探して森の中を歩いていると行き成り背中を少し誰かに押された気がした。何と後ろを見てみると一角兎が気絶していた。

 どうやら俺に向かって突進してきて皮膚に弾かれて気絶したみたいだ。

 どんなけ丈夫なんだ俺の体は!そう思いつつ服の穴が心配だったが、思っていたよりも服は丈夫らしく穴は開いていなかった。

 それにしても結構獰猛どうもうだなと思いつつどうしようかと考える俺がいる。

 攻撃されたんだし殺して解体の練習にしても良いのだが、自分に無抵抗の状態の獲物を殺せるかといった気持ちがある。

 ・・・・・・しばらく考えたが、よくよく考えてみると狩りも最初は獲物に気付かれずに弓とかで不意打ちするものだということに気がついたので覚悟を決めて剣で一角兎の首を切る。

 大量の血がびゃっと流れ出していくので逆さ吊りにして血抜きを行う。ある程度血抜きがすんだらインベントリから取り出した解体ナイフで解体していくのだが、ここで失敗した。

 皮はズタボロで内蔵の取り出しは失敗して肉に糞尿が付いてしまった。仕方が無いので一角兎の心臓から魔石を取り残りを全て穴を掘り大地に埋めクリーンを自分にかける。

 先の話になるが、解体が上手くなるのはその後に5匹の獲物を解体した時だった。



 水場探しを再開して暫くすると、どこに居るのか迷ってしまった。

 地図マップがあれば良いのにと思ったら頭の中に地図が2個出てきた。一つは大陸の形が違う地球儀のような形の地図でもう片方は円形の俺を中心とした平面の周辺地図のようだったので周辺地図だけ見たいと思うと地球儀の方は消えた。

 そういや酔ってる時にこんな地図の異能を注文したような気がするなと思いだした。確か敵が赤色、中立が黄色、味方が青色で表示されるんだったな。せっかくなのでマップに動物の表示を分類して表示させる。


 マップを見ると北の方に川があるようなので行ってみることにした。

その途中、一角兎や狼の群れに出会い初めて戦闘らしき戦闘を期待したがどちらも魔法のサンダーの一発で終わった。しかし、傷のない獲物を手に入れたので解体して解体技術をものにした。


 川は中くらいの規模の川で水がとても綺麗だが、生で飲む気にはならなかった。だが、屋敷の魔導具やインベントリに何かあった時に水だけは確保できる算段が付いたのは安心した。

 ついでに魔法の練習がてらサンダーで漁をしようとしたが、能力や存在がまだ定着しきっていないのか同じ力でサンダーを撃っても威力が変動した。なお、捕った魚はインベントリの中に仕舞った。


 薬草等の植物を収穫しながら森から屋敷に帰る事にした。

 薬草を探してそこらの木や葉っぱを見るとどんなものか分かってしまった。ああ、これも無茶苦茶書いた異能の力だと思いだしながらと絶滅したはずの木や薬草が沢山たくさん生えている事が分かった。

 どうやら人払いの結界のおかげでこの島だけは絶滅から逃れる事が出来、絶滅や希少な薬草や触媒等の植物の宝庫になっているようだ。

 ありがたく根っこから土を付けたまま採取し、インベントリに入れていく。


 そうこうしてる内にふと何かに見られているような気がした。視線の感じるであろう方向を見ると木の後ろから此方を見ている3mを超える巨体の熊がいた。

 ・・・・・・くま?クマ?ベアー?・・・・・・えーっと、こんな時は目を合わさずに後ろを向かないで熊の胸元を見ながら下がっていくんだっけ?

 多少混乱しながら、ジリジリと下がっていくと巨熊は行き成り木から出て俺に向かって走り出した。

 俺は手足から力が抜けるのを感じながら、なんとか背中を向けて逃げ出した。

 フッフッフッフと巨熊の息遣いが聞こえてくる。ヤバいと思い大木たいぼくに向かって逃げていく。


『ぐあぉぉぉぉ!』


 巨熊の雄叫おたけびが間近で聞こえた時、大木に辿り着いた。だが、そこで足の力が抜けて倒れ込んでしまった。

 頭の上を巨熊の腕が通り過ぎて大木にぶつかったと思ったら巨熊の手の形に大木の大きなみきえぐれていた。

 俺は何を考えたのか咄嗟とっさに巨熊に異能の寄生虫殺しを使用すると、巨熊の腹からゴロゴロと音が鳴り出して巨熊が俺から離れて糞をした。毛皮からもダニであろう小さなものが下に落ちていく。その間に力の入らない手を使って何とか立ち上がった俺は距離を取ろうと走り出した。

 だが、巨熊も糞をして体調が良くなったのか勢いよく追ってくる。足に力が入らないのもあって追いつかれそうになる・・・・・・追いつかれた!

 巨熊は手を振り上げて俺を殺す為に手を下ろそうとする。もう駄目だと思い咄嗟とっさに目をつむってしまう俺。

 しかし、頭に感じたのは髪の毛が動く感覚だけで、それ以外は何も感じなかった。瞑っていた目を開けるとそこには頭に巨熊が何度も攻撃している所だった。

 ・・・・・・何これ?え?俺ってこんなに堅いの?というか、俺ってこんなのにびびって逃げ回っていた訳?

そう俺が思っていると、巨熊は手で攻撃するのを諦めて口で攻撃しようとしてきたが、怒りがこみ上げて少し手に力が戻った俺は思わず巨熊の頭をぶん殴ってしまうと・・・・・・巨熊の頭がへこんで死んだ。

 ・・・・・・簡単に死んだ。それは無いだろうと言いたい程に簡単に死んだ。


「・・・・・・こんなに簡単に死ぬなよ!」


 思わず理不尽な思いの丈をぶちまけてしまった。

 そして理性が戻ってくると、この巨熊って寄生虫居ないんだよな。血抜きしないとという多少混乱した頭で考えたので巨熊の首を剣で切り血抜きをする。

 ・・・・・・血抜きをする為に吊そうと思ったが3mある巨熊であるので背が足りずに吊せない。また、ツタなどのロープ代わりになるものの強度も足りない。

 ふとサイコキネシスの異能を貰ったのを思い出したので使ってみる。すると、3mある巨熊が浮き血抜きしやすい逆さの状態に出来た。

 これで血抜きが出来るし、血抜き後に解体して(肋骨が硬かったので魔法の回転空気カッターエアロールカッターで切り開いた)熊の胆臓たんぞうから出来る熊胆ゆうたんを作れるのと肝臓かんぞうも食べられる。睾丸こうがんは売れるかな?そういや熊の手って美味しいんだっけ?

 血抜き後に今この場で内臓を抜くだけの解体をして各部位を手に入れると肉が臭くなるので川にサイコキネシスで持って行って川で内臓を抜くだけの解体を行い、各部位を手に入れ魔石を取った後に腹にかどの無い川岩を入れて川の深い所に沈める。

 数時間冷やせば後は屋敷に帰ってから毛皮剥ぎだ。

 ふと思ったのがそういえばマップに注意を払っておけば出くわさずにすんだかもしれない。これから気を付けないとな!


 待っている間が暇なのでさっきの馬鹿力を出せないかと近くの大木で試してみると、通常は大木を引き抜くような力は出せないが脳のスイッチみたいなものを入れると簡単に引き抜くことが出来た。

 だが、なんとなく能力や存在が定着するとスイッチは無くなって自動的に調整できるようになるような気がした。

 大木は勿体ないのでインベントリの中に入れた。

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