第6話 魔道具作り

 起きるて時計を見ると午前11時に近かった。昨日の夜更かしの所為だ。

 今日は何かザアザア五月蠅いので窓から外を見てみると雨だった。

 屋敷の窓類は全部ガラスが入っているので雨が入ってくる事はないが気分が憂鬱になる。

 中々起きる気になれないのでベットでゴロゴロすると午後12時になった。


 時計を見て12時を過ぎている事を知った俺は昨日の減ったようには見えない残りのシチューを食堂に行き皿に移してシチューをインベントリに仕舞って食べる。

 まだ、熱々だった。兎の肉って油の部分が少ないのだけど、今回は脂が入っている肉が入っていた。

 非常にジューシーで美味しかった。

 いつもの様に食べた皿を洗いながらどうしようか考える。

 昨日の続きでスクロール作りの腕を上げていく事にしたので地下の作業場に行く事にした。



 低品質シリーズでスクロールを作業場で作っていると自分の魔力を流す大きさや速度など込め方によってスクロールの魔法使用に耐えられる回数が違ってくるのが分かった。

 それに伴い魔方陣もより正確な線や記号、文字などの大きさや角度等でも変わってくるのが分かった。

 これらの結果、10回の使用に耐えられるスクロールを作る事が出来た。これは中級スクロールの回数に匹敵する。

 ここまで来るのに2時間かかった。

 ちなみにスクロールの回数は低級=1回、中級=10回、高級=50回、最高級=100回と平均でなっている。

 高級なペンと高級なインクと高級スクロールでエアカッターのスクロールを作ってみた所、描きやすさや線の太さの歪さや描く時のなめらかさ等全てが別次元で最高級の100回どころか300回使用できる物が出来た。


「これが万能の天才の才能の力か!」


 思わず声が出る程に万能の才の力におののいた。

 最高級シリーズを使った時が怖くなった。


 さて、スクロールで魔方陣を描く事は出来る様になった。

 次の段階はいよいよ他の材料を使った魔導具の作成である!

 作成方法には簡単な物は2種類あって、一つは基になる素材に直接魔法陣を描き、インクが乾いたらその上から保護塗料を塗るという簡単なものだ。

 ただし、この方法は簡単な構造の魔道具しか使えない。

 積層構造の魔法陣には使えないのだ。


 もう一つの方法は基となる素材に魔法陣を描くのは同じだが描いた魔法陣に沿って正確に素材を掘っていき、魔導インクと保護剤を混ぜた特性塗料を掘った溝に正確に流し込んで固まるのを待つ方法だ。

 これの利点は積層構造に使えるのと長期間の使用と保存が可能になる事だ。

 派生として魔道金属や普通の金属を魔方陣の形にして使用するという手もある。

 俺がやる方法は掘っていく方法だ。

 こちらの方が積層構造魔法陣を使用できるからだ。

 


 やる事が決まったら早速材料を揃える。魔力を流すとすぐに硬化する粘土版や道具類、魔力糸、特製塗料、魔道インク、魔獣素材、魔石等を出していく。

 粘土板に魔方陣を描いていく。

 今回作るのは野営時の警報装置である。その為に前回みたいな簡単な魔方陣ではなく、スイッチ機能やタイマー機能、出力調整に敵意関知に警報音発生やその他色々な機能を2枚の粘土板の魔方陣に分けて描いていく。

 本当は1枚に魔方陣に描こうと思えば描けるのだが、積層構造で作りたかった為に今回は分割している。

 描かれた魔方陣を道具を使って正確に掘っていく。掘る溝の深さも均一にしないとといけないので結構神経を使う。

 ちゃんと掘れたら特殊塗料を溢れない様に気を付けて流し込んでいく。文字数や図形が多いのと魔方陣が小さいので大変だ。

 それらが終わったら魔力糸を2枚の魔方陣につなげて半球の透明なドームの魔獣素材と魔石を入れる為のボックスにも繋げていく。

 ここで粘土板に魔力を流して粘土板を硬化させる。

 中身が完成したので入れ物を作る。幅5cm大きさ直径13cmの円形の入れ物に中身を収めていく。半球のドームのスイッチや魔石のボックスは入り口側の蓋を円形やボックス状にくり抜き、バリを取ってなめらかにしたのに部品を接着して乾くのを待つ。

 乾いたら蓋を閉めて完成だ!


「ああ、疲れた~。マジで小さいくて細かい作業だったから神経使って辛いわ~」


 時間を見たら午後3時前だったので、今度は魔道金属や金属を使って魔方陣を作っていく事にした。

 これが思ったよりも難しくて困った。

 何が一番困るのかというと針金の様な魔法素材に円形を作ろうとして少しでも曲げる所が間違ったらその場所を元の直線に戻すと線がガタガタになり専用の器具を使って直線に最初から戻すしかない事だ。

 最初はガタガタで円形も作れなかったが、それを乗り越えると次の関門が魔鉄や魔銀の板から図形や文字を切り抜いていく作業が手こずった。

 それらの文字を魔方陣に溶接する作業にも初めてで手こずるし、いやー難しい事だらけだったわ。

 ちなみに作ったのはドライヤーだ。いや、これないと朝の髪のセットが上手く出来なくて寝癖が一部付いたままになっちゃうんだよ!



 6時頃になったので食堂に行きシチューをインベントリから出して皿に盛り付けインベントリに直す。これもなんかルーチン化してきた様な?

でも、シチューの残りの残量を見た所では明日1日全ての食事をシチューにすればシチューはなくなるので頑張りたいと思う。

 30分程で食べ終わったが、出したシチューは脂身がなかった所為かそれなりの美味しさだった。


 就寝の時間には早かったので、地下室に行き訓練場で訓練する事にした。握力計の握力を測ろうしたら、単位が1トンで1000トンまで測れる様になっていた。

 これは動かせないだろうと思ってやってみると簡単に1000トンまでいった。・・・・・・何か間違っていると思った。

 他の器具を使っても簡単に持ち上がったりするので訓練にならないと思い武術の方の練習をして過ごした。

 ふと中央を見ると試合会場の様になっているのに気がついた。これは何でだろうと行ってみると中央に着いた途端、頭の中に戦闘シミレーションをしますかと出てきた。

 巨熊の時を思い出し戦闘シミュレーションをする事にした。シミュレーションは状況を選ぶ事も出来る様だが、最初なのでこのままでやる事にした。

 最初の敵はゴブリンにしてみた。

 シミュレーションがはじまった。戦闘範囲にシールドが張り巡らされて、ゴブリンが現れ、現れたゴブリンは殺気だって此方を殺そうとすぐに分かる目や雰囲気をしていて怖かった。

 相手の様子をうかがっているとゴブリンが動き出したが、物凄く遅く感じたので此方からゴブリンに向かって剣を振ってみると簡単に殺せて終わった。

 剣なら一振りで殺せるから制限をかけて今度は素手でやってみる事にしたが、一撃で破裂して終わってしまった。

 人数を増やしたり、状況を変えても同じなのでゴブリンでは駄目だと思い、コボルトに変更したけど同様。

 色々な魔物にしたが全て同じだった。

 巨熊よりも大きなトロールやドラゴンを相手にしてみても同じだったが、力が抜ける事なく戦闘できる様になったのが唯一の収穫だった。


 ふと思い立ち、自分と戦ってみたらどうなるるのだろうと思いドッペルゲンガーと戦ってみるとドッペルゲンガーが此方に変身しようとすると弾けて消えてしまった。

 ・・・・・・なんで?

 納得がいかないのでシミュレーションで自分自身と戦えるかと聞いてみると可能だが相手は現時点での身体・魔法・異能能力を全て自在に使いこなす事が可能な状態になるとの回答だったが、試しにやってみた。

 ・・・・・・一撃で首ちょんぱされて此方が死んだ。


 心が折れたので部屋に戻って風呂に入って寝た。

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