第9話 卒業

あれから眠って起きても何も変わらない。

嘘のようだ、過去へ行ったことが。

やはり夢だったのかな?


あれ、変わってる。少し過去に戻ってるような…

タロも小さいな、

【ニャーゴ】ゴロゴロ

やっぱ猫って可愛い。暖かいし、柔らかい。


【卒業式、帰ってきたらパソコン買いに行くよ、私立合格祝い】

親父ー、嬉しいって思えない。失礼だがスマホがほしい。パソコンってこの時代だとなー。

スゲー重い、ゲームしょぼい、ネットできないのが普通。


まぁ、いいや。少しずつユキの顔も忘れていくのかな。


【なぁ、ユキって女のコクラスにいたよな?】

【誰それ、聞いたことない。名字は?】

【いや、知らない】

【名前のみ知ってるっておかしいだろ】

【確かにな、先生もだいたい名字で呼ぶからな】

【空想の世界だな、可愛いんだろ、どうせ】


まぁ、確かに可愛い。ストライクゾーン。

玲奈もそうだが。同じタイプではない。


小学校卒業。泣く子もたくさん。こんなに感動的だったのかー。俺も泣けてきた。昔は何も感じなかったが。


【中学別だな、残念だけど仕方ない】


あーそうか、俺だけ私立だ。もう一人女のコ私立に行くけど、俺は男子校。嫌だなー、これから男子校6年間。やっぱ、キャンセル!クリーニングオフって制度今からじゃ間に合わないか。この時代あったか?この制度。


【ちょっといい?】


おっ、声かけてくれた女のコがいた。

私立に行く女のコだ。


【ユキって知ってる?】

え、今なんて!ユキのこと知ってるのか?


【ユキのこと、何か知ってる?】


そういうと少しムッとして

【こっちが聞いてるの!このクラスにいたよね?】


女のコに怒られたことないから、少しビビった。


【俺の中では記憶あるけど、ある時からずーと会ってないんだよ】


【やっぱり、私もかなり前から】


なんでユキのこと聞いてきたんだろ?

違和感あるな、何か。

詳しく話してみるか、今までのこと。

信じてくれるとは思えないが…


【時間軸調整課って言ったんだよね、間違い無く】

【間違い無く言っていたよ、時間軸調整課のユキ】


【ユキっと女のコ、私達以外の今知ってる人いないの解ってる?】


【親は知ってるよ】

【今?帰って聞いてみて、待ってるから】

【解った】


真っ直ぐ帰りすぐにユキのこと聞いた。

【誰?女のコ?】

【いつも女のコ迎えに来ていたじゃん】

【迎えに来た女のコいたら母さん大喜びだよ】


なんだ?過去が変わってる?

ユキの存在がない?だから会えないのか?


まだ学校にいるかな?すぐに戻り知らせた。理由も知りたかった。


【やっぱ、私と同じ。記憶がないの】

【ユキってあの可愛い女のコだよな?】

【可愛いは余計だけどね、たぶん同じ人、私よりたぶん可愛い、悔しいけど認める】

【ごめん、同じくらい可愛いかな?】

【フォローしないで、余計に惨めになる】


くだらないやり取りはどうでもいいけど、何故二人しか知らないんだ?ユキはクラスにいたよな?

どの席にいたんだ?いつも何していたんだ?


何故みんな記憶ないんだ?俺一人なら妄想ってこともあるかも。でも証人は二人いる。


もう会えないのか?


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