第8話 近くにいてほしい

眠ることしか出来ない。ここで無理にでも。

どうなるか解らない。でも方法は他にない。


目を閉じて、好きな音楽想像して、

目を開けても変わらないけど、目を閉じないと眠れることなど出来るはずがない。


何時間くらい過ぎだろうか?

恐る恐る目を開けて、光があることに気がついた。


ここは何処だろう?海?テトラポットが右に、海の家が左にある。懐かしい場所だ。家族で来たことを覚えている。


【涼、何食べる?】

母親は定番の焼そば、何故か海の家って、必ず焼そばあるね。そしてとても美味しい。俺も焼そば。


そういえばずーと食べていなかったなー。美味しく一気に食べきった。


【他に何か食べる?】

母親はお腹空いていて我慢させるのは昔から可哀想と思う性格だったな。


【いらない、大丈夫】


本当はもっと食べたかった。ただ眠くなるのが怖い。どこに行くか解らないから。


ユキ…

本当の君を知りたい。大人になって、何を話したのか、何が理由で付き合ったのか、別れたのか。


ここのとこ、常に探すようになってしまった。

俺のこと、なんて呼んでいたんだろう?


やばっ、疲労で眠りそうだ。駄目だ、まだ眠れない。ここはたぶん中学生になって家族で来た海だろう。これ以降家族で旅行ってなかなか行ってない。


とにかく探そう、どこかで出会えることを期待して、過去や未来など教えてほしいことがたくさんある。


でも、本当にそれを知りたいから会いたいのか?

それ以外の理由もあるのか?


ん?あれは、見覚えのある、誰だ?


玲奈!間違いない。中学で出会ったか?

そんなわけ無いが、年齢差を考えても見た目と一致する。


何か聞いてみるか、近づくことに抵抗はなかった。

ただいきなりでは怪しまれるな。


【駄目だ!話しかけるな!】

あの時の声がした。どこから、どこにもそれらしい人は見当たらない。


とりあえず離れよう。こういうのってなんて言ったかなタイムパドラックス、パラドックス?どっちだっけ?


この声は2回目だ。ユキでもない、誰なんだ?


ここのとこ疑問だらけ、そして眠くなり、目覚めと共に別の場所や時間に。


なんだろうなー、同じ場所で暮らすって幸せなことなんだなー。こうして経験してみて解ることってあるよなー。


とりあえず家族で過ごす時間楽しもう。

親孝行って感じだしな。親はどう思ってるか

解らないが…


美味しいお刺身、煮魚、お肉、お腹いっぱいになってしまった。そして寝てしまう、馬鹿だな俺。

眠気には勝てない。



さーて、もうどこでもいいや。目覚めと共に何があっても平気、さてどこの世界だ、あれ?普通?翌日?


昨日と同じ海があり、朝食に焼き魚、生卵、納豆、海苔、お味噌。美味い、どれもこれも美味い。


【涼!どうかした?】

【何が?】

【昨日から魚料理食べてるけど?】

【だってとっても美味いじゃん】

【いつもおかずにならないって食べないから】


母親は解ってる。確かにそうだ。ずーと子供のことを見て育ててくれたんだなー。凄いな、母親って。

もちろん父親もそうかも知れないが、うちの場合は解ってないからなー。

魚料理だと嫌そうに子供連れてマックに行くくらいだからね。


【涼、無理しないでマック行くか?】

【せっかく魚料理の美味しさ解ってきたんだから余計なこといわないの】

【俺、魚料理好きじゃないしなー】

【じゃ、勝手に行ってくれは?】


この頃から両親仲悪かったなー。

戻ったら仲良くさせるようにいろいろ

工夫しないとなー。


ここで初めてか、普通に寝て一日が過ぎたのは?

いや、2回目だな。ユキがそばにいた時か。


会いたいなー、俺のタイプとかでなく、まぁ、それもあるが、それとは別に何か安心する。


ユキ、どこにいるんだろう?


【帰るよー】

家族旅行帰り道、寝りそうだなー。嫌だなー。

この海、大人になってから来たような気がするな。


【うわー、大渋滞だー、途中で仮眠するか】

そういえば、よく帰りに仮眠って親父言ったなー。

高速道路でもあるんだよな、そういう便利な場所。


【ここで空いてた時間まで休もう】

俺は寝たくない。でもこれじゃ寝てしまう。

スマホないって本当に不便!何かするにもスマホ必須だ。もう生活必需品だ。


とりあえず外に出るか。夜風が心地よい、コーヒーでもって、子供だからな。外見は。コーヒーとか大丈夫かな?カフェイン入ってるし。


コーヒーは大好きだ。ブラックで飲むの、砂糖は不要。ブラックが最高。凄く落ち着く。今、やっと冷静に考えることが出来る。


整理してみよう、ここまでの経過を。

①最初に過去に戻ったのは小学生の時。

②次に幼稚園での脳震盪。

③次に小学生に戻った?というか過去で未来に、過去進行形とでも言う感じかな。

④次に中学生くらい、曖昧だかこの辺は。


ユキに出会ってたのは小学生に戻ったとき、

時間軸調整課って言っていたな。


一回目の暗闇はユキが来てくれて、二回目は俺が無理やり寝て脱出出来た。


ユキが話してくれたやり直しってなんだろうな。

過去に戻ってることもすでにやり直しって感もあるからな。


なんかなー、ユキって存在がここまで大きくなるなんて。時間軸調整課ってどこにあるんだろう?


ちょっと、待て、これじゃ玲奈に申し訳ない。

玲奈と会う未来に向かおう。

何か無理やり言い聞かせている自分もいるな。


許せ、玲奈!









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