第6話 ユキ

完全にキャパオーバー、一回リセットしよう。


この状態では何も考えれられない、脳震盪起こして、それから・・・

とよく小説では話をまとめることが多いがそんなに器用ではない。


ただ解っていることは夢ではないことだ。もう夢なんかじゃない。

現実を見つめよう。覚悟を決めよう。


【俺、どれくらい寝ていた?】

【もう馬鹿な子だよ、遊具に飛び込むなんて】

【まぁ、脳波に異常ないし、今日は帰っても大丈夫ですよ】


とりあえず帰宅、その間頭の痛みと考え事でフラフラ…


【先生に報告に行かないとね、何事もなくて良かった】


母親の安心感が伝わってくる。感謝!!父親も心配だったのだろう、

慌てて病院に来てくれたのがよく解る格好だった。


幼稚園での出来事だったことは覚えている。しかし年齢からして幼稚園児はきつい…

小学生もきつかったが…

精神は大人なので考えすぎて休まらない。ところでユキは…


タイムトラベル?それとも別のなにか起きて俺の精神だけが時空を超えたのか?

いずれにしてもユキが鍵を握っている。


こういう時にだいたい現れるものだが…小説やドラマでは、よくあるパターン。

レベル3何だったのか?

また眠くなってきた…疲れてるな最近、仕事も忙しいだけで楽しくないしな。


【学校!遅刻するよ】

今日くらい休もうかなー、とはいかないか、脳波に異常ないし…

ん?学校?幼稚園だろ?


【幼稚園?】

【はぁ?馬鹿なの?いつの話?】

【小学校?】

【幼稚園で頭ぶつけて脳震盪おこした影響か?(笑)】

【小学校、もうじき卒業!!】


寝て起きて、また小学校?卒業?

【友達迎えに来たよ、もう朝ごはん無し、給食まで我慢!!】

腹減ったなー、学校面倒だなー

【女のコ待たせるんじゃない!!】


女のコ?とりあえず行くか、誰だろう…友達の名前と顔一致させるの疲れた。


【おはよう、急ぐよ!!】

???、えっ?ユキ!!!また会えた。良かったー。


【行ってきます!】

【女のコだと喜んで元気になるんだから、単純な子】

【もうじき中学だからみんなと離れ離れだから寂しいんじゃない】

【社交的だから大丈夫でしょ】

【男子校だからなー、ある意味寂しいかもな】


ユキは何も話さない…なんか緊張するぞ。精神は完全な大人なのに。

えーと、どうすればいいんだ。何か切り出さないと…


【レベル3…って何?】

【覚えているの?なんで?もしかして時間軸…】

【時間軸調整課のユキって自分で言っていたじゃん】

【ちょっといい?学校行っている場合じゃない!!】

【なんかため口…まぁ、外見的には同じ年齢だからいいか】


学校までの道のりの途中、具合が悪くなったと理由つけて帰るそぶりを見せ、

近くの公園に向かった。サボってると思われるかなー


【説明します。冷静に聞いてください】

口調が戻った。いつものユキだ。真面目な雰囲気もかわいいけど…

子供に見えないんだよな。大人の雰囲気というか。


【レベル3:本来過去の消滅を意味します。ところが消滅どころかさらに過去に戻りましたね、それも覚えていますね】

【ああ、幼稚園児ね】

【その後すぐに未来に飛ばされましたね】

【同じ小学生だけどね、少し未来っていうか俺から見れば同じ過去】

【やり直しなんです、全て。でも過去はもう別の過去になってしまっている】

【???過去そのものに戻ってきただけで別物だろ?】


ユキはしばらく目を閉じて、それから一言、

【私は未来のあなたの恋人です】


ちょっと待て!!確かに俺の好みに近い、というよりも大人になったユキはさぞ可愛くなるだろう。ラッキー!って言ってる場合じゃない。過去?未来?恋人のユキ?

よく解らない、もう理解してはならないってことかな。そして都合よくまた眠いな。

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