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定期的に、エーイチの墓をネットで検索している。
一〇年前、わたしが「祖父の墓参りをしたい」といい網走の共同墓地に行ったが、あのとき父は適当な墓を見つけてやり過ごしたにちがいない。
「ない」なら「ない」と言えばいいものを、あるいはエーイチの墓を徹底的に探せばいいものを、父はぬるま湯に浸かったようにわたしを誤魔化したのだ。
しかも「俺の墓参りも頼む」だって? エーイチの墓がないなら絶対行くものか!
「網走 共同墓地」で検索しても出てこず、「網走 帝国陸軍」で探すと「陸軍墓碑」が出てきた。しかし網走にはなく、旭川、札幌、函館の三ヶ所しかない。しかも陸軍省がなくなって墓碑の管轄は財務省となっており、その後、墓碑があった土地は勝手に売買されているときく。
祖父は軍人ではなく、ただの貧乏百姓で徴兵された一兵卒だったはず。
遺骨もないのになぜわたしが墓にこだわるのか、自分にもわからない。わたしは仏教徒ではなくキリスト教信者でもなく、エーイチ信者である。
これで、振り出しに戻った。
まあいい、祖父の墓はわたしがつくるしかない。
墓場なきわれらが死者たちは人口統計の傍線のなかに住まっていると信じなければならないのだろうか
(エマニュエル・レヴィナス)
悪のなわをほどき、くびきのひもを解くこと
しいたげられる者を放ち去らせること
すべてのくびきを折ること
飢えた者に、あなたのパンを分け与えること
さすらえる貧しい者を、あなたの家へ入れること
裸の者を見て、これに着せること
自分の骨肉に身を隠さないこと
(『イザヤ書』)
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