4話 四季と出逢って、僕は

「私と君以外、全員ゾンビなんだって知ってた?」


 そう、僕に言った。

 世界の秘密を、僕だけにこっそり教えるようだった。

「……?」

 え?

 ゾンビ?

 聞きまちがいか?

「……」

 僕は答えられずに黙っていた。彼女は何か続けようとしたけど、そのとたんにエレベーターの扉が開いた。

 彼女は僕に降りるように目でサインを送った。僕は戸惑いながら先に降りた。

「案内してよ、げん

「!」

 現、と自分の名前を急に呼ばれ、ゾッとして頭の後ろが寒くなった。

「あ、あの」

「今日から、よろしく」

 よろしく?

「もしかして……」

 きっと写真でも先に見て、僕の顔をすでに知っていたのだろう。

 今日、あいさつに来るという新しい姉。

 僕はこたえられず、目を伏せる。

 これじゃだめだ、またいじめられる……。

 すると、彼女は僕の顔をのぞきこみ。

 クールな顔をぐちゃっとくずし、不器用に笑いかけた。

「私、四季っていうんだ」

 静かで、温かくて……きれいな名前だな、と思った。

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