第7話帰宅

旅館を出たのは朝10時。

ペットホテルまで俊一は運転し、子猫を迎えに行った。

「本日は渡部エアラインご利用、誠にありがとうございます。本機は地上0メートルを走行中であります。到着地、名古屋天候は曇り。15時到着を予定しています。皆様、どうぞ素晴らしい空の旅をお過ごし下さい」

俊一は運転しながらそう言った。

しかし、こずえと洋介は拾った子猫にべったりだ。


俊一は走行中、道路に黒いシミを見た。

ブレーキを踏み、速度落とし走行していると、信号待ちの乗用車に10トントラックが突っ込んだ。

俊一は急ブレーキを掛けたが、路面がオイルで濡れていたため、タイヤが滑り、中央分離帯の水クッションに突っ込んだ。

後続車両は次々とハザードランプを点け停車した。

子猫に夢中の家族も、何が起きたか理解していない。

警察車両と救急車が間も無く到着した。


事故の原因は10トントラックの油圧の関係で、ブレーキが原因であった。

一番後ろの信号待ちの車の運転手は救急車で運ばれた。

俊一達の車はエアバッグが膨らんでいて、俊一は頬にアオタンを作った。

加入している自動車保険に電話して、レンタカーを借りた。

死者が出なかった事が何よりだった。

こずえと洋介は、俊一のケガを心配したが本人が大丈夫だ、と言ったので2人は安心した。子猫は2人を後部座席に座らせたのでエアバッグでケガする事はなかった。

それから、オスであることから子猫は「大福」と名付けられた。

レンタカーで、名古屋に到着した。

俊一の運転手人生は終わりになろうとしていたが、明日から社用車は自身で運転しようと思った。

3人で、日曜日の夜、子猫が寝たのを確認してから、宴会を始めた。

俊一の慰労会だ。

こずえは翌週の月曜日から、運転を始めた。

それ以来、俊一が自家用車を運転する事が増えた。


この家族の話しは終わりにしよう。

皆さん、安全運転を心掛けて下さい。


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ドライバー 羽弦トリス @September-0919

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